Bリーグ1部は3月8日、各地で第23節を行い、滋賀レイクスはホームの滋賀ダイハツアリーナで島根スサノオマジックと対戦。今季、激戦区となっている西地区で首位の島根と最下位の滋賀。両者の「第4ラウンド」は、10月16日の広島戦を最後に欠場が続いていた滋賀のイヴァン・ブバの復帰に注目が集まった。
試合は終始、強豪島根を相手に食らいついた滋賀が3Q終了時点で3点差まで詰め寄ったものの、89-98で惜しくも敗れた。
この試合ではデクアン・ジョーンズが27得点8リバウンド3アシスト、テーブス海が17得点5リバウンド9アシスト、イヴァン・ブバが14得点5リバウンドを記録しチームをけん引した。
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ダビー・ゴメスHC「チームにとって重要なピース」
スターティングメンバーが発表された瞬間、アリーナは大きな歓声と温かな拍手で包まれた。
10月20日にイヴァン・ブバのインジュアリーリストへの登録が発表されてから実に5ヶ月。当初のリリースでは左足関節内果骨折で全治12週間となっていたが、万全な状況でのコートへ戻るために予定よりも復帰が遅れていた。
第1Q中盤、デクアン・ジョーンズからのパスを受けたブバはゴール下で復帰後の初得点を挙げると、会場からは拍手が沸き起こる。その後も得点やゴール下での献身的なディフェンスでチームに貢献し、復帰戦は22分41秒間のプレーとなった。
試合後、記者会見場に現れたブバは「今日は良い形のフィジカルでタフに試合に入ることができたと思っています。ただ島根さんはトップにいるチームですし、本当にタレント勢が揃った素晴らしいチームだと思っています。そういったチームに対して今日のようなパフォーマンスができたことは大きなことだと思っています」と試合を振り返る。ダビー・ゴメスヘッドコーチ(HC)は「今日の試合から感じ取れるように、彼がチームにとって重要なピースであるという事は分かったと思います」と大黒柱の復帰を喜んだ。
およそ5か月の間、チームをコート外から見守っていたブバ。コートの外からチームを見ることと、コートに立って見えるチームの違いについて記者から質問が及ぶと「一番大きな違いは(復帰したことで)チームの一員として戦えるので、チームの勝利に貢献できることです。自分のパフォーマンスでヘルプができるようになったというところが一番大きいです」とコートに立てる喜びを語る。
「あとは長い間離脱している期間中ずっとチームと一緒に練習していましたが、練習でプレーしているのと実際に試合に出てプレーするのは違うので、それが100%に戻るためにはもうちょっと練習しなければならないと感じました」と述べ、コンディションがまだ100%戻っていないことを明かした。
残り21試合「ケミストリーがもっと良くなれば素晴らしい結果を残せる」
シーズン序盤で大黒柱のブバが戦線を離脱し、得点源として活躍が期待されたジェイコブ・ワイリーも帰国。チームは態勢を整えられないまま2度に渡るHCの交代、18連敗など度重なる苦難に直面していた中、ようやくフルロスターで試合に臨めるようになった滋賀。
ブバ自身も目まぐるしく変わっていったチーム状況に言及し、「自分が怪我をしてからチームは本当に色々な変化があり、シーズン開始当初とは全く違ったチームにはなってしまいましたが、自分も戻ってきて、デクアン・ジョーンズも途中から加わって、ここからやっとフルロスターで残りのシーズンを戦えます。
本当に自分たちも島根に負けないぐらい良いタレント勢が揃っていると思っているので、ここからまた一つ、チームケミストリーがもっと良くなれば、残りのシーズンも素晴らしい結果を残せると自分を感じていますし、試行錯誤しながら良いケミストリーを築いていかなければならないと思っています。自分もコートに戻って来られたので、残りのシーズンは素晴らしいシーズンを過ごせるように戦っていきたいと思います」と残りの試合に向けて力強く意気込んだ。
新加入デクアン・ジョーンズは移籍後全試合で最多得点
1月31日、実質ジョーダン・ハミルトンとのトレードのような形で西宮ストークスから期限付きで移籍してきたジョーンズ。第23節終了時点で平均21.4得点、3P成功率53.1%、平均リバウンド数6.4本と高水準の成績を残しており、移籍後に出場した5試合すべてにおいてチーム最多得点(もしくは最多タイ得点)を挙げるなど、滋賀にとって明るい材料となっている。
今回の対戦相手である島根のポール・ヘナレHCもB2在籍時にジョーンズが所属するチームと対戦しており「ジョーンズ選手は非常に良い選手だということを知っている」とコメントしている。また、2014−15シーズンにはイタリアリーグでブバとチームメイトだったこともあり、ブバが復帰した今後の試合での両選手のコンビネーションにも期待したい。
代表活動で成長した川真田紘也やテーブス海
また、約3週間のB1バイウィーク期間中にはFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選が行われた。
滋賀からはテーブス海、川真田紘也が日本代表チームに召集され、キーファー・ラベナもフィリピン代表選手として活動した。ゴメスHCは「3選手とも代表活動を経て一歩成長して帰って来た」と述べており、特に川真田はバーレーン戦で自身初の日本代表公式戦に出場。優秀なビッグマンが多く集まる代表チームの中で、大きな経験を積んで滋賀に帰ってきた。島根戦では14分36秒の出場で4得点4リバウンドを記録。ゴメスHCも「川真田を信頼しているし、川真田がしている仕事に満足している」と若きビッグマンへの期待感を口にする。
現在5勝34敗の滋賀は新潟アルビレックスBBとともにリーグ最下位に沈んでおり、残りのシーズンはB1残留をかけて負けられない戦いが続く。シーズン開始当初の予定とは違う形にはなってしまったが、各国の代表として経験を積んだ3選手が在籍し、ジョーンズという強力な新戦力の加入、そして待望のブバの復帰と最後のピースが揃った滋賀。たくさんの苦難を経験してきたからこそ、彼らの不屈のメンタリティに期待したい。
(田名 さくら)