
Bリーグ2部(B2)は11月28日から30日にかけて各地でレギュラーシーズン第10節が行われ、東地区首位の福島ファイヤーボンズはホームの宝来屋ボンズアリーナで西地区4位のライジングゼファー福岡と対戦した。
29日の第1戦では、第4クォーター残り1分53秒に同点に追いつかれたものの87-85で逃げ切り、連勝を16に伸ばした。
翌30日の第2戦は劇的な展開となった。第1Qではシュートが決まらず、10-23と13点ビハインド。第2Qで32-37と差を詰めたものの、再び点差を話され、第4Q残り7分32秒には46-64とこの日最大の18点差をつけられた。しかし、ここからケニー・マニゴールトを中心にチームが奮起する。残り1分15秒にマニゴールトが同点弾を沈めると、残り21秒には中野司がこの日初のリードをもたらす一撃。70-68で勝利目前かに見えたが、福岡も意地を見せ、70-70でオーバータイムに突入した。
1回目のOTでも決着はつかず、2回目、3回目へ。101-101で3度目の延長もドローとなり、Bリーグ史上初となる4度目のオーバータイムへと突入した。重要な場面でパトリック・ガードナーや中野が得点を重ねて福岡を振り切り、最終スコアは120-114。福島が長い長い戦いを制し、クラブ史上最多となる17連勝を決めた。
第2戦では、福岡戦から復帰の中野が26得点でチームをけん引。マニゴールトが19得点16リバウンド15アシストのトリプルダブル、ガードナーが21得点12リバウンドのダブルダブルを達成した。第10節を終えた福島は通算18勝1敗でリーグベストの成績をキープ。次節・第11節は12月6日と7日にアウェイの山形県総合運動公園で同地区6位の山形ワイヴァンズと対戦する。
試合後の記者会見に登場したライアン・マルシャンHCのコメントを紹介する。

ライアン・マルシャンHCの福岡戦後コメント
――福岡戦・第2戦の総括
試合を見てわかると思いますが、本当にいい試合でした。福岡もとてもいいチームで、これまで4試合しましたが、福島が1回も勝てなくてもおかしくないようなチームだと思っています。その中で、また大差をつけられたところからの逆転で、歓声・応援が素晴らしかったですし、そのおかげで自分たちもエナジーを出せました。自分たちを信じ続けたからこそ試合に勝てたと思います。本当に素晴らしい試合でした。
――序盤なかなかシュートが入らないところから、中盤以降どのようなところを修正してきたのか
シュートが入らなかったことに関しては、正直、自分たちがシュートを打つわけではないので、そこを修正するのは本当に難しい。その中で、今年の一つの目標として「どんな状況でも絶対に戦うチームづくり」というのを心がけてやっています。常に戦い続けて、僅差に持ちこんで最後に勝ちきるというのが自分たちのチームの形だと思っています。ただ、負ける時は絶対にあると思います。シュートが入らずに負けることもあると思います。ただそれはバスケットの一般論で、仕方のないことです。その中でも連勝が続いていて、素晴らしいことだなと思います。

――今シーズン、ここまで好調をキープできている要因は
HCの経験として、ここまで連勝したことは正直ありません。バスケットというスポーツは8連勝、9連勝するのが本当に難しいスポーツだと思います。シュートが思うように入らなかったり、審判の笛が思うように鳴らなかったり、それこそ選手が疲れていたり、選手があまりいい態度ではなかったり。そのようなことで絶対に負けはくると思っています。ただ、自分たちはシーズンが始まる前からメンタリティの部分にフォーカスして選手に声をかけたりしています。
自分たちがどのようにプレーをするのか、どのような態度で戦うべきなのか。外国籍の選手だけではなくて、チームにいる13人全員に伝えていますし、もちろん試合の中でそういう態度の部分がよくなかったりしたら交代させたりしています。シュートを落とすのは仕方のないこと。ここまで連勝できているのはレアなこと、普通ではないことだと思っていますし、リーグでこの先こうして連勝するチームは2、3年たぶん出てこないと思っています。それくらい自分たちは、たぶん運も味方してくれて連勝できているのだと思います。
――チームでのメンタリティをどう育てているのか
メンタリティの部分で最初からずっと教えているのは、チームスポーツなので「一緒に戦う」というところです。自分のことを奮い立たせるのはもちろん大事ですし、その中で仲間をサポートするのも大事です。それをシーズン序盤から積みあげていくのがとても大事だと思っていて、ここまで積みあげてきたからこそ、そのメンタリティが選手に根付いているのだと思います。
それ以外で選手によく声をかけるのは、「ノイズを無視しなさい。どんな罵声が飛んできても無視しなさい」ということです。メディアに対して批判的な話ではなくて、自分はニュースを見ないのですが、チームがいい時というのは周りの人がすごく褒めてくれて、いいことばかり言ってくれます。ただ負けてしまったら罵声が飛んでくるので、そこに左右されないために、自分たちがやっているプロセスをしっかり信じて楽しむことが大事だと思っています。
もう一つ大事にしていることは、選手に自分らしくいてほしいということです。自分らしくいてチームメイトをサポートし合う、というチームづくりが本当に大事だと思っているので、それができていたからこそ今このようなチームになっていると思います。
――17連勝という記録はチームの取り組みが間違っていなかったという結果だと思うが、この成功体験を積むことによって練習に取り組む姿勢に変化は感じられるか
今までNBAやPリーグ(台湾リーグ)にいたこともあり、遠征が多かったです。その中で、練習以上のものは絶対に試合に出てこないので、練習はすごくハードにする必要があると思っています。ただ、それ以上に休むことがとても大事です。練習はとてもハードにしていますが、休む時はしっかり休んで、オン・オフをはっきりさせて。もちろん試合に向けての準備も大事なので、次の試合に向けてもしっかり取り組んでいきたいと思っています。






