けが人続出の厳しい状況でつかんだチャンス 信州ブレイブウォリアーズ福島 ハリス慈音ウチェ「試合を通しての活躍を」
信州ブレイブウォリアーズの福島 ハリス慈音ウチェ©Basketball News 2for1
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 Bリーグ2部(B2)は15日から16日にかけて各地でレギュラーシーズンの第8節が行われ、東地区3位の信州ブレイブウォリアーズはホームのホワイトリング(長野市)で同地区首位の福島ファイヤーボンズと対戦。15日の第1戦は66-79、16日の第2戦は84-93で敗れ、ホームでは今季初の黒星となった。

 同地区の上位対決となった今対決だが、信州は主力選手の多くが欠場。第1戦は9人、第2戦は8人のロスターで戦うなど、苦しい状況となった。

 こうした状況下で存在感を見せたのがルーキーの福島 ハリス慈音ウチェだ。今シーズン練習生から特別指定選手として契約を結んだ福島は、第2戦ではチーム最長となる32分52秒をプレーし、7得点4リバウンド4アシストを記録。敗戦の中でも活躍が光り、ポテンシャルの高さを見せる形となった。

チーム最長のプレータイムを獲得 手応えと見えた課題

 第1戦の出場時間はわずか1分7秒。今シーズンは16日の福島戦の前までの出場試合数はわずか「6」であり、総出場時間は22分ほどだった福島。

 そんな中、第2戦では第1クォーター(Q)残り7分7秒から出場すると、残り1分1秒にはバックカットからこの日初得点を記録。続く第2Q序盤には、今季初となる3ポイントシュートを沈めてチームに勢いをもたらすと、第4Qにもオフェンスリバウンドをもぎ取り、そのまま得点を奪い、73-66とこの日最大となるリードを奪った

 その後は逆転を許し、信州は敗れたものの、インパクトを残した福島。試合後、次のように振り返った。

「なかなか大きなミニッツでプレーすることは今シーズンなかったです。最初のシュートこそ入ったんですけど、3ポイントは1/5。試合を通しての活躍をしないと、今、けがをしている(栗原)ルイスさんだったり、アキ(チェンバース)さんだったりが帰ってきた時に、また前の現状に戻ってしまう。しっかりと改善していかないといけないと思いました」

 フィールドゴールの成功は10本中3本に終わり、シュート確率やフィニッシュで課題を残した福島。それでも、果敢にゴールへアタックする姿を勝久マイケルヘッドコーチ(HC)は評価する。

「慈音は初めてこんなに試合に出たので、当然ルーキーのミスはあります。だけど、それを経験していくことが次の成長にもつながると思います」

記者の質問に答える勝久マイケルHC©Basketball News 2for1

"ビッグファミリー"の中で成長中 最年少ながらも堂々プレー

 持ち前の明るさとコミュニケーション能力でチーム内でも存在感を見せる福島。取材には柔らかな表情で、すらすらと自身の言葉を並べていく。日英のバイリンガルでもあることから、練習中は外国籍選手とも積極的にコミュニケーションを取ったり、通訳のように選手間の橋渡しの役割を担ったりと、チーム最年少ながらその貢献度は非常に高い。

「(チームの雰囲気は)正直最高ですね。自分は最年少ではあるんですけど、(小玉)大智さん、(土家)大輝さん、(小栗)瑛哉さん、(東海林)奨さん、(横山)悠人さんは歳が近いこともあってたくさん教えていただくこともあります。練習中の雰囲気もすごく良いので、一つのビッグファミリーかなと思っています」

 練習後に小玉大智らと反復練習を行う姿は信州の恒例となっている。だからこそ、プレータイムが増えた状況でも怖気づくことなく、思い切りの良いプレーが飛び出していたのだろう。福島戦では最近の信州にとって大きな課題となっているフィフティー・フィフティー・ボール(どちらのチームにも獲得のチャンスがあるルーズボールにも積極的に飛びつき、チームにエナジーももたらしていた。

「今シーズン通して、ルーズボールやリバウンドがずっと課題ではあったので、今日(16日の第2戦)はメンバーがいない分、自分たちの真のハートを見せるためにも、絶対に相手には負けないようにしようというのは試合前から心がけていました」

 けが人続出で緊急事態のチームとあって、ファンやブースターからの期待値も高い。福島の活躍に比例して会場のボルテージも高まり、身体を張ったプレーには拍手が沸き起こる場面もあった。

「今日は(観客が)3400人ぐらい入っていて、後半に僅差のゲームになった時に、ブースターの方々の応援だったり、声というのは絶対に選手にもコーチ陣にもスタッフ陣にも響いています。本当にホームで勝ちを届けたかったという気持ちでいっぱいなんですけど、ファン、ブースターには感謝しかないです」

チャンスを生かして大きな経験を積んだ福島。信州の新たな元気印としてチームを盛り上げることはもちろん、勝利に貢献できるピースへと成長したい。

福島の活躍に沸く信州の主力選手たち©Basketball News 2for1

(芋川史貴)

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