B1での通訳と練習生、サラリーマン時代を経てB3で念願選手デビュー 甲斐将志がつかんだ“ラストチャンス”
立川ダイスの甲斐将志©Basketball News 2for1
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 2024-25シーズンのレギュラーシーズンが繰り広げられているB3リーグ立川ダイスは16日時点で9勝11敗とし、17チーム中11位につけている。

 今季からルーキーとして立川でプレーする甲斐将志は、これまで横浜ビー・コルセアーズバンビシャス奈良信州ブレイブウォリアーズに通訳、練習生として所属。2022-23シーズンを最後に表舞台から姿を消していた甲斐だったが、1年間の無所属期間を経て、今季は立川ダイスと選手契約締結を果たした。

 選手としてはルーキーながら、通訳として各チームに所属していた時の物腰の柔らかな話し方や雰囲気とは違い、リバウンド争いに積極的に絡んだり、外国籍選手とダイレクトにコミュニケーションを取ったりするなど、ポイントガードとしての立ち振る舞いは堂々たるものだ。

 念願の選手としてのキャリアをスタートさせた甲斐に、これまでのキャリアや選手としての生活、Bリーグから離れて過ごしていた昨シーズンことなどを聞いた。

立川ダイスでプレーする甲斐©Basketball News 2for1

開幕から2か月 「徐々に自分らしさが出せている」

−プロ選手としてここまでプレーしてみての感想は

 今まで練習生や通訳で選手を支える側にいた部分が多かったんですけど、実際に選手になってからいろいろ活動し始めると、本当に全てが新しい経験という形ではあるので毎日いろんなことを吸収しなきゃいけない。うまくいかないことも多いですけど、ちょっとずつ自分で考えながらどんどん学んでいければいいかなと思っています。

−B3リーグから開幕から約2ヶ月経ったが、学んだことは

 「強度」という部分はプレーしてる中でも、B3ではありますけど、プロとして初めてコートに立って、他の選手はプロでのキャリアがある中でやっている部分もあり、練習生の頃とかは練習に入らせてもらって、高い強度でやらせてもらっていたんですけど、それを毎日やるのはシンプルに大変だなと感じます。やっていくにつれて徐々に学べている部分だったり、どんどん慣れている部分もある。徐々に自分らしさがコートで出せているんじゃないかなと思っています。

−チームの雰囲気は

 アンドリュー(フィッツジェラルド)以外はみんな年齢が近いというところもあって、ある意味すごくコミュニケーションが取りやすいです。若いからこそ良いエナジーを常にコートで出そうということを話していますし、お互い支え合ってチームとしていい方向には進んでるんじゃないかなと思います。

―チームや個人の成績の現状について

 香川(ファイブアローズ)さんとやったときは自分がコンディショニングもあって出られなかったんですけど、そこまでの部分でなかなか連勝ができてないということもあって、土日のバック・トゥ・バック(2連戦)でタフなスケジュールという多い中ですけど、1日目に勝っても2日目に勝たないと意味がないっていう部分もあると思う。その辺りをもっと自分たちが突き詰めてやらないといけないのかなと思いますし、チームとして連勝記録を目指していけるように。疲労が溜まっている中ですけど、全員で支え合いながらプレーして(土日で)2連勝できればいいなと思います。

コートでは「徐々に自分らしさが出せている」と手ごたえをつかんでいる©Basketball News 2for1

昨季は別荘の管理会社で勤務も元チームメイトから刺激

―Bリーグから離れていた昨シーズンは何をしていた?

 昨シーズンは本当に中学生ぶりに実家(長野県軽井沢町)に帰ったというのがあったので、知り合いに紹介してもらって別荘を管理する管理会社に普通に勤めながら夜は社会人バスケをしていました。(軽井沢町の)土地柄の仕事なんですけど、別荘管理の仕事をしていました。(働きながら)社会人バスケに行っていました。

−どんな思いで、信州や他のチームを見ていた?

 懐かしいのもありますし、(信州の)アシスタントコーチの久山さんだったりとか結構連絡を取ったりしていました。信州だったり、横浜BCだったり、過去に在籍したチームの試合は全部なかなか見られていないんですけど、ハイライトだったり結果は常に見て、「みんな頑張っているんだな」という思いで見ているところはありました。

―信州時代に勝久マイケルHCのもとではどんなことを学んだ?

 信州にいたシーズンの一番最後のホームゲームで、スタッフも選手も挨拶したときに言ったのが「今まで多分一番濃いバスケ人生を送ることができた」という話をしていた。本当にマイクさん(勝久HC)のバスケットは内容がすごく濃かったというか、毎日本当にいろんな学びができていた。自分の学びだったりとか知識だったりを実際、自分がコートに出てやるとなると、なかなかできなかったり、うまくいかない部分もあるはあるんですけど、そういう知識は共有できる部分はチームにもあると思う。(信州での経験が)「こういうことできるんじゃない」とか「こうした方がいいよね」というコミュニケーションには繋がるかなと思っています。コミュニケーションやバスケットの戦術面、「こういうディフェンスをしてきたときにこうする」とか「こうしようよ」というアイディアを出せているかなと思います。

―信州時代の思い出は

 信州のときは久山コーチとかとすごく仲良く過ごせたこととか、僕自身はオカさん(岡田侑大)と練習終わった後に1対1するのが毎日結構楽しかったり、練習の中で(熊谷)航さんだったり、生原さんは見ているだけで学べることがすごく多かった。練習の中で航さんとマッチアップできたりということは本当に毎日がすごく刺激的な部分はありました。

©Basketball News 2for1

目標はプレーオフ進出 「次につながるシーズンに」

―今季から選手としてのプレーとなったが、選手契約までに何チームのトライアウトを受けた?

 昨年は「チーム数もいけるだけ行こうかな」と思って、6チーム7チームぐらいB3のチームとかでも受けていたんですけど、今シーズンで「選手になるなら最後」で考えていた。今年もトライアウトに受からなかったら(選手として)プロを諦めてリーグで通訳するのか、普通に社会人をするのかという決断しようと思っていたので、結構裏の関係者の方とかも話して、本当に(選手を)探しているチームとのトライアウトに参加させてもらおうと思いました。(トライアウトを受けたのは)今回は3チームかな。夏に行きました。

―トライアウトに受かったときの心境は

  久山さんとも夏に「どうするの?」とか、いろいろ話していた部分はあったので「選手としてのオファーをいただけました」という報告はマイクさんや久山さん、横浜BCの関係者の方に一応お伝えしました。

―今シーズンのチームとしての目標、個人としての目標は

  チームとしてはやっぱり新しい選手も入ってる中ですけど、とにかくプレーオフをまず目指して頑張っていければいいなと思っています。個人としては、今年はルーキーシーズンということもあるんですけど、本当にいろんなことを周りから吸収して次に繋がるシーズンにしたい。将来に繋がるようなシーズンになればいいかなと思っています。

(榊原かよこ)

インタビューで笑顔を見せる甲斐©Basketball News 2for1

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