オーストラリア遠征のBリーグ琉球とSR渋谷…NBLの強豪相手に初戦敗北も「大きな経験」「今後に生かせる課題」得る
豪州遠征でプレーするサンロッカーズ渋谷のジョシュ・ホーキンソン(左)と琉球ゴールデンキングスの岸本隆一©Basketball News 2for1
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 Bリーグから琉球ゴールデンキングスサンロッカーズ渋谷が参戦しているプレシーズンゲームの国際大会「Perth Wildcats International Series」は9月12日、オーストラリア(以下、豪州)のパースにあるPerth HPC(パースハイパフォーマンスセンター)で開幕した。主催は豪州NBLの強豪で知られ、2024-25シーズンはリーグで10チーム中3位だったパース・ワイルドキャッツ。同4位のサウスイースト・メルボルン・フェニックスも参戦している。

 琉球は初日の1試合目でフェニックスと対戦。高さのある相手にリバウンドで上回られ、序盤から劣勢が続いて75ー90で敗れた。

 2試合目に登場したSR渋谷はワイルドキャッツとぶつかった。フィジカルの強い相手に対してターンオーバーが19回に達し、第2クォーターから引き離されて66ー86で敗北した。

 最新のFIBAランキングで7位につける豪州(日本は21位)。今年8月の「FIBAアジアカップ2025」ではNBL所属の選手や学生を中心としたチームで3連覇を飾っている。高さやフィジカルの強さがあり、内外から得点できる選手が多い。

 NBLは1週間後に新シーズンが開幕するため、いずれの試合もチームの完成度やメンタル面に差があったことは否めないが、改めて豪州のレベルの高さを感じさせられる内容だった。その分、琉球、SR渋谷にとっては収穫も多かったようだ。

琉球期待の若手・崎濱「組織的なバスケは学ぶところがある」

 琉球は序盤から岸本隆一ジャック・クーリーを中心に攻めるが、強度の高い相手ディフェンスの圧力を前になかなか得点効率が上がらない。素早いトランジションや高確率の3ポイントシュートで得点を重ねられ、前半終了時点で33ー51と大きくリードを奪われた。

 後半はチーム全体としてエナジーが増加。第4クォーターには小野寺祥太と崎濱秀斗の連続3ポイントシュートなどで追い上げ、15点差で試合を終えた。

 個人スタッツではヴィック・ローが11得点6リバウンド4アシスト、クーリーが10得点7リバウンドと気を吐いた。特別指定選手の崎濱秀斗は4本のシュートと1本のフリースローを全て沈めて11得点を記録した。

 桶谷大HCは、試合の入りで相手に前に出られたことについて「メンタリティの部分でしっかり準備をさせられていなかったと感じます。相手のシュートが入る中、自分たちは入らない状況で、メンタル的に劣勢になって慌ててしまった部分がありました」と反省を口にした。

 一方、後半の追い上げについては「みんながプレータイムを確保しながらチャレンジできたので、悲観するゲームではありません。今シーズンもアンダードッグな姿勢を崩さずにやらないといけないと思わされた試合でした」と語り、収穫に目を向けた。

 期待の若手である崎濱は+/−がチームトップの+7で存在感を示した。サイズの大きいチームとの対戦を通して「NBLはフィジカルの部分が全然違い、リバウンドでボックスアウトしても裏から取られることもありました。体の強さや使い方など、いろいろと感じられた試合でした」とプラスの経験になったようだ。

 自身はスラムダンク奨学生としてアメリカでもプレーした。その経験を踏まえて「海外のチームは見た目で圧倒される部分もありましたが、意外にやれる部分もあるので、(次の試合も)チャレンジしたいと思っています。オーストラリアはインサイドにアタックしつつ、キックアウトとかで組織的なバスケをやっていると感じたので、学ぶところはあると思っています」と続け、成長の糧にしたい考えだ。

11得点を記録した崎濱秀斗©Basketball News 2for1

SR渋谷の司令塔・ベンドラメ「海外チームとの対戦は自信になる」

 SR渋谷はピックを起点に相手ディフェンスを崩し、第1Qからジョシュ・ホーキンソン田中大貴らが効率的に得点を決めて19ー21と競った状態でこのクォーターを終えた。

 しかし、第2Qに入るとワイルドキャッツのディフェンス強度が上がり、スティールからの速攻や高確率の3ポイントシュートで流れをつかまれる。29ー49と一気にリードを広げられ、前半を折り返した。第4Qはスコアで上回ったが、最後も20点差で終了した。

 個人スタッツではホーキンソンが28得点7リバウンドと奮闘。新加入のディディ・ロウザダは12得点4リバウンド、ベンドラメ礼生は3得点6アシストだった。

 試合後、カイル・ベイリーHCが「これだけのフィジカルの相手と対戦できたことは大きな経験でした。今日の試合を通して、自分たちが今どのレベルにあるのかを知ることができました」と言ったように、この一戦がプレシーズンゲームの初戦となったSR渋谷にとっては、フィジカルの強い相手との試合は現在地を知る上でいい機会になっただろう。

 指揮官は二日後のサウスイースト・メルボルン・フェニックス戦に向けて「第3クォーターの途中までファウルを1回しかもらえなかったのは今日の課題です。もっと強く戦う必要があるし、ターンオーバーも減らさなければいけません。特にディフェンス面でもっと強さを出していく必要があります」と展望した。

 司令塔のベンドラメも、新チームとしての1戦目を終えて「オフェンスもディフェンスもコミュニケーションの部分で、今後に生かせる課題が多く見つかりました。個人的にはミスも多く、シュートも決まりませんでしたが、チームとしてのオフェンスの組み立て方が明確になったことは、大きな収穫でした」と手応えを口にした。

SR渋谷のベンドラメ礼生 ©Basketball News 2for1

 自身は日本代表として国際試合の経験も豊富だ。それを念頭に「久しぶりにコート上で国歌を聴いて、代表での経験を思い出しました。海外チームとの対戦は自信にもつながります」と語り、個々の選手にとっても貴重な経験になると見る。

 琉球とSR渋谷のオーストラリア遠征は9月14日にも試合を行い、SR渋谷が午後2時からサウスイースト・メルボルン・フェニックスと、琉球が午後4時半からパース・ワイルドキャッツと対戦する。試合の様子はワイルドキャッツの公式YouTubeなどでライブ配信される。

(長嶺真輝)

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