
2026-27シーズンから開幕する新リーグ「Bプレミア」に向けて、各チームで体制を整える動きが加速している。Bリーグ2部(B2)の信州ブレイブウォリアーズは、今オフに組織改革を行い、「チーム本部長」のポストを新設。今季まで越谷アルファーズでゼネラルマネジャー(GM)を務めた青野和人氏がチーム本部長に就任することが発表された。
長野県出身で東海大三高(現東海大諏訪高)を卒業後、選手やコーチ、GMとして数々のチームを渡り歩いた青野氏。このタイミングで地元に戻ってきた経緯や今後のクラブの展望などを聞くべく、バスケットボールニュース2for1では、青野氏にインタビューを実施した。一問一答形式で届ける。
ほかにオファー受けたものの「地元」への貢献選ぶ
ーまずは信州に戻ってくることとなった背景を教えてください
正直、いくつかはオファーをいただいたんですけど、熱量とか地元っていうのもありましたし、どこかのタイミングでとも思っていたので、全てが重なったかなと思っています。
ー共感された部分が「日本一」とのことですが、その価値について教えてください
考え方としては、まずは日本一にふさわしい組織をつくって、その後に日本一が転がりこんでくるような形を目指したいです。ちょうどBリーグのファイナルも終わりたてで、そこで頑張ってきたチームを見ると、結果の下にちゃんと文化があったり、こういう人たちの思いを持ってやるというより、そういう人たちに自分たちから届けに行っている。
そういう文化がクラブとしてはっきり出ている2チームが決勝で当たったかなと思っていますので、そこはすごくファイナルを見て感銘を受けました。ブースターのみなさんも熱い県だとは思うんですけど、そういうものをみんなでつくっていくっていうところは味わいたいなと思っています。
ー長野県を離れている間は、このチームをどのように見ていましたか
自分は違うチームで動いていながら、なかなかチームはできていないという状況から立ち上がって、地元にチームができたことによって昔のバスケ仲間を含めて、周りの人たちがすごく活性化していました。
結果が伴っていない時期がすごく長い印象もあったんですけど、(勝久)マイケルコーチが来て、お互いの車輪がしっかりはまるというか。マイケルコーチもやるべきことが明確で、求められていることもしっかりと合致していたので、良い進み方ができたんじゃないかなと自分は見ていました。

役割は勝久HCが「背負わないようにすること」
ーチーム本部長として求められる役割を教えてください
GMはマイケルがしっかりとやってくれているので、彼が背負わないようにすることです。例えば、決めなきゃいけないことが渋滞しているうちの1つや2つが自分で済むこととか、マイケルが時間をとって考えなくていいところで私の決断で済むことはやっていけばいいと思っています。
そうなるとチームとフロントがお互い頑張ろうとしているけれど、別の島のようになってしまうことがクラブとして心理的なところで生まれてしまったら、自分はそこを両輪で動かしていきたい。チームが苦しい時はフロントが盛り上げて、フロントが苦しんでいる時はチームがしっかりと引っ張って勝ちに行くみたいな。
そこの両輪が噛み合うところはクラブとして必要な姿でもあると思いますし、そういうところは自分もたくさん見てきたので、そこで足しになるものがあればどんどんやっていきたいなと思います。
ー「私の決断で済むこと」の具体例を教えてください
フロントとチームの一体感もそうですし、チームとユースの連動性もそうです。憧れて「ユースを目指そう」って来てくれた子たちと、トップチームとの距離の近さ。それは選手に触れられるっていうわけじゃなくて、選手が日頃どういうことでプロの意識を持ちながら行動しているか。そういう部分が伝わるようなこともあれば良いなと思っています。
ーユースのお話が出ましたが、信州のユースを見てみての印象はいかかがですか
もっとできることはあるなと思います。それは私の仕事の部分もそうですし、現場のコーチの指導力もそうですし、それを受ける側の選手たちの心構えとかもそうです。トップチームと近いことができているチームとそうでないチームっていうところはかなり差ができているとは思います。
ただ信州で良いなと思ったのが、コーチ陣の熱量と生徒たちの目つきがすごく良いなと思ったので、やるべきことの情報や経験値を自分なりにシェアしていくことで、指導力の向上や、テクニックや情報量は少しずつ入れていきたいなと思います。
週に1回ユースでミーティングをやっているんですけど、もちろん業務で大切なこともあるので、そこを早めに取り組んで、その後コーチの勉強会に時間をシフトしています。まだ始めたばかりなので結果がどうなるかというのは分からないんですけど、みなさんの目つきが少し変わってきたかなと思います。

ー来季の編成では若手の加入が目立っています。どのようにご覧になっていますか
ブースターの方たちにとってはショックな発表もあったと思うんですけど、そこはそういう決断をしたからには正解にしていくしかないと思っています。それを新加入の選手たちが証明しろよっていうのは、荷が重かったり分からないということがあるので、そこは自分も含めて正解にしていくコミュニケーションだったり、把握する力っていうのは、今まで以上に必要なのかもしれないです。
ー日本一のチームを目指すために進めていくべきことは
志をまずはそろえていけると良いかなと思います。「自分はこういう役割でこれをやります」っていうのが一見プロの仕事かもしれませんが、なんか隣の人も巻き込んだり、助けるっていうのは1つ分かりやすい行動ではあると思います。
コーチはコーチングしてくれるんですけど、そのコーチの役割って別にベテラン選手が担ってもいいですし、私が違う形で、考え方とかこういう心境だなって時に1+1が2以上になるような声がけや巻き込みっていうことができるような組織や人たちを生んでいきたいと思っていますので、「志」っていうところは訴えていきたいなと思います。
ーBプレミアに向けて展望をお願いします
大きなフレームで言っていくと、準備というよりは勝ちに行って、その勢いで乗り込めるクラブでありたいなと思っています。そこに必要なことをそれぞれ熱く繋がってみんなで成し遂げるっていうのをやりたい。スケジュールや位置付けはリーグの中でも話し合いが濃度高く、すごく濃く話し合われています。わくわくが止まらないリーグになると思います。
(芋川史貴)