
Bリーグ1部(B1)は22日と23日の両日、各地でレギュラーシーズンの第26節が行われ、中地区5位のサンロッカーズ渋谷はホームの有明コロシアムで西地区2位の島根スサノオマジックと対戦した。
22日の第1戦では、序盤から両チームとも主導権を譲らない展開となる。37−37と同点で迎えた第3クォーターでは、先発のアンソニー・クレモンズとベンドラメ礼生が得点源としてSR渋谷をリード。第4Qでは、島根に追いつかれる場面もあったものの、フリースローを獲得することで得点を稼ぎ、69-65と接戦を制した。
第2戦では、第1Qの入りから島根に連続で得点を決められ、ペースをつかめない展開が続く。第2Qはベンチタートの阿部諒がフリースロー3本を決めると、ベンドラメやリード・トラビスが3ポイントシュートを決めて追い上げ、31-39と8点ビハインドで後半へと折り返す。第3Q序盤にはクレモンズの3Pが決まり、流れに乗るかと思われたSR渋谷だったが、この日の島根の勢いは止められず。安藤誓哉に34得点を許し、最終的には61-85で苦い敗戦となった。
第2戦では、クレモンズが21得点3リバウンド、田中大貴が9得点3リバウンドを記録した。リバウンド数は島根の47本に対して30本と大きく下回り、インサイドでの苦戦が響いた。
第26節終了時点でSR渋谷は通算24勝20敗とし、中地区5位をキープ。同地区4位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズに1ゲーム差と迫っており、チャンピオンシップ進出圏内のワイルドカード下位にいる東地区3位の千葉ジェッツとは5ゲーム差としている。次節の第27節は、中地区首位の三遠ネオフェニックスとアウェイの豊橋市総合体育館で対戦する。
第2戦後の記者会見では、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチとハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアが記者の質問に答えた。

ルカ・パヴィチェヴィッチHCの島根戦後のコメント
ー島根戦・第2戦の総括
島根さんは昨日(第1戦)の負けから切り替えて、さらに強く戦ってくるだろうと予測していました。昨夜、試合後に選手たちにも言いましたが、安藤誓哉選手がさらにモチベーション高く、アグレッシブに攻めてくるだろうと伝えていました。そして、安藤選手をいかに止めて、彼の得点、パフォーマンスをおさえる、そこが我々のメインの鍵となる一つだったのですが、それが見てわかるようにできなかったです。
だからといって、安藤誓哉選手だけにやられたわけではないですし、チームとしての島根さんを過小評価したくもない。(島根の)他の選手たちにもリスペクトを示さないといけない。島根さんの方が本当にチームとしていいバスケットをした結果での負けだったと思います。それでも「安藤選手をどれだけおさえることができるか」というのが一番の鍵だったが、それができなかった。(安藤選手の活躍は)ここ何年かでも類をみない活躍だったと思います。ゲームの出だしから安藤選手を止められなくなり、そしてエナジーレベル、タフネス、そして激しさというのが我々になくなってしまい、島根さんに点差をつけられた。これだけいい選手がそろっている島根さんに(点差を)一気に離されてしまうと、そこから戻ってくるのは難しいゲームになってしまう。

ー点差が離されたなかでも選手たちは気持ちを失っていなかったように見えたが
その通りで、選手たちはあきらめていなかったですし、戦う姿勢というのは最後まで見せ続けていました。そこは間違いないと思います。ですが、この試合を振り返ると、前後半の出だしの部分で、我々がソフトに入ってしまっていました。そこが何かというと、安藤選手に一気にやられてしまったことです。前半の最初もそうですし、後半の最初もあったと思います。
先ほどの別の記者さんからの質問のように『ディフェンスに重きをおいているんじゃないか、そちらのコンセプトの方が強いのではないか』とありましたが、まず今日の試合で負けたところは、ディフェンスで負けたと感じています。ですので、安藤選手に一気にやられた点が大きかった。本当はこの試合であれば、ずっとゼロゼロで、どちらが最後ゲームを勝ちきるか分からない、そんなゲームができたはずですし、それを望んでいました。ですが、前半の始め、後半の始め、10−0のランを(島根に)くらってしまうと、やはりそういう風な可能性というのは消えてしまいます。
バスケットボールは勝つか負けるかのスポーツです。その中で10点マイナスを背負っているチームの方が負荷が重いですし、リングが(いつもより)さらに小さく見えて、決めないといけないというプレッシャーがある。そういうふうに感じている部分が選手の中にもあったと思いますし、勝っているチームは心に余裕ができて、リングが大きく見えて、シュートがいつも以上に入る。重要なところをおさえきれなかったことが、今日のようなゲーム展開になってしまったというのは間違いない。
本来であれば、先ほど言ったように、最後一点でも多く取るチームが勝つスポーツですので、そういう試合を我々はできる力があると思いますし、それを望んでいました。しかし出だしでソフトになってしまったところが、大きくのしかかってきて今日の結果になったと思います。
ー二連戦を連勝するために必要なことは
まず、バックトゥバックの二連戦を勝つために必要なのは、メンタル面もフィジカル面もどちらも必要だと思います。まずはフィジカルの部分で、作戦を遂行できるフィジカルさは絶対必要だと思います。最初のゲームに勝てたというのは、すでにそれ(フィジカル面)は持ち合わせているというのは間違いないです。だからこそ勝てている。でも、メンタル面、Bリーグでは24時間経たないうちに試合が来ますが、それは相手も同じです。その中で、(第1戦で)負けたチームは絶対に次(第2戦)は負けないと反応して、強く戦ってくる。そこを、メンタル面でいかに準備できるかというところ Bリーグで勝ち上がっていくためには一貫性を持って戦いぬける力を、チームとしても個人としても持っているかどうかが、この二連戦を勝てるチームかそうではないかで分かれるのだと思います。
ハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアの島根戦後のコメント
ー島根戦・第2戦の総括
出だしから9−0のランを作られて、自分がベンチから出てエナジーを上げないといけないところで、安藤さんにやられて、オフェンスの部分でも自分のシュートがなかなかうまくいかないことが続いた。それも最後までずっと悪いまま終わってしまったので、それも次に向けて修正して全員でバウンスバックできたらいいかなと思います。

ー安藤誓哉とのマッチアップについて
安藤さんを止めれらたのは一回だけで、それ以外はずっと安藤さんにやられっぱなしだったので、すごく自分も悔しいですし、ディフェンスだけでなくオフェンスでも貢献したかったところなんですが、なかなか思いっきりアンダーされるという経験がなくて自分のリズムでシュートを打つことができなかったので、すごくいい経験にもなりました。それを次に向けて修正していきたいです。
安藤さんは、外もできてドライブもできたり、細かいフェイクが多い選手なので、(ディフェンスに)つくのも難しいですし、安藤さんが止まっていることがあまりなくて、常に動き回っているので、自分たちも必死についていかないといけない。自分は他も誰も気にせずにずっと安藤さんを…と思っていた。一回だけはしっかり守れたが、それ以外はやられてしまったので悔しいです。(会場の歓声は)夢中になりすぎて全く聞こえなかったです。ディフェンスは自分の武器でもありますし、スーパースターを止められたのは良かったかなと思います。
ー第4Qでは自身が起点となって試合をつくっていた
すごくいい経験ですし、ここから自分がどうやって修正していくかというのがすごく大事だと思っている。この悪い試合で落ちるのではなくて、全員でポジティブにとらえてやることが大事かなと思います。
ー試合終わりにクレモンズと話している場面ではどんなことを話したか
サップ(クレモンズ)は「若い頃にこういう経験があった。こういう経験はすごくいい経験だ。」と言っていて、一本目が入ったらリズムに乗れて打てると話していた。他は、試合前にルーティンを作るとか、細かいことも話してくれた。同じポジションの先輩から学べるということはすごくでかいので、無駄にせず一つ一つインプットして、自分が成長できたらいいなと思います。
ー次節に向けての修正点は
オフェンスの部分だったら、3ポイント。リード(トラビス)が中にいる時に、相手は一人では守れないと思うので、ディフェンスがヘルプに行く試合が多い。その時に、自分が一本でも二本でもしっかり3ポイントを沈めることが大事かなと思うので、それを次の試合でやっていきたいと思います。
(金野恵理)