
Bリーグ1部(B1)は22日と23日の両日、各地でレギュラーシーズンの第26節が行われ、西地区8位の滋賀レイクスはホームの滋賀ダイハツアリーナで東地区3位の千葉ジェッツと対戦した。
第1戦、滋賀はインテンシティの高いディフェンスでプレッシャーをかけ、千葉Jのターンオーバーを誘発。攻めてはブロック・モータムやマーキース・カミングスを中心に中外からバランス良く得点を重ね、93-89で接戦を制した。滋賀はBリーグ9季目にして初めて千葉Jから勝利を挙げた。
翌第2戦、モータムへのマッチアップを変更した千葉Jに対し、序盤は攻めあぐねたものの、長谷川比源のゴール下への合わせや3ポイントシュートで食らいつき、49-47と2点リードで前半を終える。
後半、開始早々に千葉Jの富樫勇樹にドライブで連続得点を許すと、ディー・ジェイ・ホグの3Pが当たり始め、一気にリードを奪われる。流れを引き寄せようと試みるも状況を打開できず、第3クォーター(Q)を終えて59-75と16点のビハインドを背負う。それでも第4Q、千葉Jから20ターンオーバーを誘発した積極的なディフェンスで一時一桁点差にまで詰め寄り、会場を沸かせる。最後まで食らいついたものの、最終的には80-95で敗戦となり、第26節を1勝1敗で終えた。この試合で滋賀はクラブ史上最多となる入場者数5064人を記録した。
滋賀は千葉J戦で常田耕平が24得点でB1でのキャリアハイを更新、モータムが14得点、長谷川が11得点を記録した。試合後の記者会見では前田健滋朗HC、常田、長谷川が記者の質問に答えた。
前田健滋朗HCの千葉Jのコメント
-千葉J戦の総括
昨日(第1戦)以上にたくさんの方々に来ていただいて、素晴らしい雰囲気をつくっていただき、本当に嬉しく思っています。クラブとしても昨日より今日という一歩、そして、これまで以上の一歩というのは非常に大きいと捉えているので、非常に嬉しく思っています。
この週末に関して、おそらく千葉さんが滋賀に来られるというのが(最多入場者数に関して)大きな要素だったという風に考えています。ただ、滋賀レイクスを見たい、滋賀レイクスの試合を楽しみにしていただいて、滋賀レイクスで記録を更新することが我々クラブとして目指すところ、目標だと私自身は捉えています。なので、もっともっと魅力的なバスケットを展開して、勝利を届けることが必要だと思っています。
今日(第2戦)の試合で勝ちを届けることができなかったこと、最後一桁点差までいったんですけど、最後の最後に勝つチャンスがある状況に持っていけなかったことを非常に悔しく思っています。そこはまだまだ足りなさを痛感させられているので、大事なことは次の練習にどういったマインドセットで集まって、どういった練習をするのか。次の京都戦でどういったことを、このアリーナで表現するかが本当に大事だと思っています。

-第1戦を受けて修正してくる千葉Jに対して、前半は競ることができていた要因と、後半に点差がついた中でもカムバックできた要因は
まず、千葉さんが素晴らしいクラブ、コーチ陣、選手というところで、明らかに昨日と違うというのは当然ありました。それぞれの選手、チームが、我々に対してどうやって倒すかというところを、当たり前ですけどしっかりと準備をしてきたことに対して、何とか前半は自分たちもついて行くことができた。一つはターンオーバーからトランジションを打たすことができたのが、前半ついていくことができた要因だと思います。
3Qに関しては、やはり我々が彼らをストップすることがなかなか難しくて、ハーフコートの状況になってしまった。それによって、18点の差がついてしまった、と試合が終わって映像を見ていない段階で、今感じているところです。点差が開いた状況の中からなんとか、この試合をもう1回戻すんだという気持ちを持って選手たちが戦ってくれたことによって、戻すことができたと思っている。もちろん3Qの悔しい部分、4Qにそこからカムバックしたことは、いいところは続けて、良くないところは改善していきたいと思っています。
-19歳でプロ1年目の長谷川比源の評価は
私自身、彼が何歳かは一切気にしていませんし、彼はチームの中心となってやってくれているなと思っています。年齢だけのことをいうと彼は19歳、(千葉Jの)瀬川選手は高校を卒業したばかりの18歳。ただ、皆さんおわかりの通り、瀬川君も比源も年齢どうこう関係なくB1の舞台に立っていて、結果を残していることを考えると本当に素晴らしい選手たちだと思いますし、もっともっと飛躍していくことが日本のバスケットに良い影響を及ぼしますし、それを見た若い子たちが自分もできる、自分もここに立ちたいという思いになってくれると思っています。それがうちで言えば梶原悠真だと思っています。
常田耕平の千葉J戦後のコメント
-滋賀戦の総括
昨日の勝利から、千葉ジェッツもフィジカルな部分やマインドセットの部分で変えてきた部分を、自分たちも引かずにやろうという話はしていたんですけど、どうしても戦術だったり、マインドセット以外のそれ以上のものを千葉さんが持ってきたので、出だしリードされてしまった。今節は2プラトンで游(艾喆)と大智(野本)さん、自分と泰希(岡田)でやっていたので、昨日の試合も手応えを感じていたので、引き続き良い時間帯を2人で作り出せていたと思いますし、CJ(江原信太朗)の活躍は時間も短いですし、見えづらいとは思いますが、彼の献身的なディフェンスやスペーシングをしっかりとるなど、この2日間バックアップメンバーもいい時間をつくれたと思います。
彼ら(千葉J)は自分たちの戦術やメンタル以上のものを、バスケットボールの技術や能力で持っているので、要所要所でそういう部分を出させてしまって、3Q頭で勝負を決めるタイミングというか、そういうのがジェッツはすごく上手かったです。3Q頭でこの試合を決めにいくという雰囲気がすごくありましたし、それ以外にも千葉Jのブースターさん達が会場の雰囲気を変えようとしていたのを感じた。毎年プレーオフに出るチームの雰囲気を感じましたし、この2日間は僕自身も、若い選手にも必ずプラスになる良い経験ができたと思います。

-千葉Jのモータム対策を受けてのオフェンスプランについて
まずはうちの強みではあるので、そこ(モータム)を中心としてバスケットボールをやるのは勝つために必要だと思っています。ただ、そこに思った以上にジェッツが守りにきましたし、その日その時で変えなくてはいけない場面だったと思うので。昨日(第1戦)の最後辺りから田代さんがブロック(モータム)につくシチュエーションが増えて、それを今日(第2戦)は頭からやってきて、上手く守られていた。そうなった時にランをつくられてしまった。同じことをしていては意味がないと思っていたので、積極的にシュートを打ちにこうと思っていました。
プランの中でも富樫さんにディフェンスでプレッシャーをかけて、ストレスを溜めさせるというポイントと、オフェンスで富樫さんを絡めて、富樫さんのファールであったり、なるべく富樫さんにディフェンスをさせてストレスを溜めさせるというのがゲームプランであったので、それを上手く実行できたと思います。その中でも比源(長谷川)のカッティングであったり、大智さんのアタックはみんなが試合を重ねるにつれて、ブロックの対策をとってくるので、その答えを探して持っておこうというのは共通意識として持っているので、僕もそれを体現しただけかなと思います。
-富樫の上から決めた3ポイントについて
気持ちよかったとかはあんまりないですね(笑)。試合内容的には勝つか負けるかという内容をずっとしていて、さっきも言いましたが2プラトンでやってきていて、最初の出だしで相手がインテンシティ高くやってきて、それを逆にベンチで見ていたので。また追いついてしっかり大智さんと游に繋げようという気持ちでやっていたので、自分のシュートに対して、「今日入ってるわ」というのはあんまりなかったですね。それよりもあんまりイライラさせたら、またやられて嫌だなと。ああ、やばいかなとは思いました。やめてやめてって感じでした。
それよりも、言い方は良くないかもしれないですけど、ジェッツブースターが後半すごくて、正直びっくりしました。簡単に言ったら黙らせたかったという思いが強かったです。前もそういう経験があったんで、僕がB2青森にいるときに、この会場のブースターを黙らせたいという思いでやっていた時期があって、本当にその感じでした。あのうるさい人たちを黙らせたいというか。富樫さんの前で決めたいとかではなくて、ああいう雰囲気をぶち壊したいという気持ちでやっていました。だからこそ純粋にすごいなと思いました。これが本当のプレーオフに出るチーム、ブースターなんだなと思いました。
だからこそ、それにも負けない滋賀レイクスのブースターさんのためにも、自分たちのレベルやチームの価値を上げていくことが、今(レイクスの)ブースターさん達に値するものだと思います。(富樫の前から3Pを)決めた後は、さすがに決め返してくるだろうなと思いました。
長谷川比源の千葉J戦後のコメント
-千葉J戦の総括
今日はより一層相手も本気になってくる中で、逆に自分たちはもっとアグレッシブにいって主導権を握るということを話していて、前半はそれがうまくいって2点リードして折り返すことができたんですけど、3Q出だしが全てだったのかなと思います。そこで相手のリバウンドだったり、させてはいけないことをさせてしまって点差が開いて結果的に4Qまで響いたことが敗因だと思います。

-B1でプレーしてみての手応えと課題
通用していると思うのは3ポイントやドライブ、アシスト。プレー的にもやることが多いので、積極的にやる中で通用している部分も多い。今日の試合でも自分のプッシュからのアシストができたので、上位チーム相手にそれができたというのは一つ自信になった。
バイウィーク明けから3Pがなかなか安定して入っていなくて、確率もよくないので、そこの部分を決めていければ、もっと相手に嫌な選手になれる。そこでカッティングだったりをしていくことで、より一層相手を迷わせることができる。相手の5番の選手がつくことが多いので、3Pを決めることによって、相手の外国籍選手を外に引っ張ることができて、味方のイージーなレイアップが生まれる。HCにもそこは求められているところなので、まず3Pの確率をもう少しあげていくことが課題です。
(ディフェンス面は)マッチアップしていく上で、常にレベルの高い選手とマッチアップするのは自分の中で楽しみ。しつこくついていけば最後手を出してくれて、(クリストファー・スミスから)オフェンスファールをとれたことも自信になった。それを毎回することができれば、ガードからセンターまで守れる。そういうウィングの日本人選手はいないし、自分のリーチの長さをいかしたスティール、ブロック、その中でもしっかり足を動かして1対1で守れる選手になるというのが目標だしチームにも求められている。そこをもっと毎ポゼッションじゃなくても、一回でも多く粘り強いディフェンスができれば、もっといい選手になれると思います。
(高久理絵)