サンロッカーズ渋谷の田中大貴が後半戦へ意気込み「やるからには優勝を」
練習で汗を流すサンロッカーズ渋谷の田中大貴©Basketball News 2for1
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 16日間で8試合という12月のレギュラーシーズンのタフな日程を戦い抜き、2025年1月4日から第16節が始まるBリーグ1部(B1)。中地区に所属するサンロッカーズ渋谷は、12月28日と29日に行われた第15節を終えた時点で15勝11敗(勝率.577)とし、地区4位に位置している。昨シーズンは35勝25敗で総合順位を9位とし、惜しくもチャンピオンシップ(CS)への切符を逃したSR渋谷。悲願のCS進出、そして優勝を目指すため、ルカ・パヴィチェヴィッチHCの下、厳しい戦いを勝ち抜くための準備を怠らない。

 そんなチームの中でも鍵をにぎるのが田中大貴だ。昨シーズンからチームに加入した田中は、アルバルク東京時代にはパヴィチェヴィッチHCと共に優勝も経験しているベテランであり、今季にかける思いは強い。ケガを抱えながらも主力としてチームを支える田中に、今シーズンのチームについてや後半戦への意気込み、日本代表についての思いなどを聞いた。

同地区ライバルで古巣A東京との対戦「すごく楽しみ」

ー2023年の手術以降、トレーニングで気をつけていることや重視していることは

 怪我してからしばらくトレーニング出来ていなかったりとか、バスケットからもちょっと離れてしまった期間があって、その時にどうしても自分のコンディショニングが落ちてしまった。これは仕方ないのかもしれないですけど、落ちてしまった部分があったので、そこを去年のシーズンはバスケットの感覚を試合をやりながら取り戻すっていうところ。シーズンが終わってから今年のオフは、筋力のところをもう少し戻すっていうところで、トレーナーとコミュニケーションを取りながらやったりしてる状況ですし、手術した後、去年もシーズン中に一度腰を痛めてしまって離脱してしまったんですけれど、今シーズンは出来ればそれがないように、柔軟性だったりとか色んなやれるところはトレーナー陣と相談しながらやってるっていう状況です。あまり気にしすぎもよくないのかなと思いますけど、自分の場合は一度手術しているって事実があるので、そこのところはより敏感に、繊細に、対応していかなきゃいけないなとは常に考えています。

ー開幕戦では地元長崎に凱旋した

 純粋に楽しかったですね。シーズンが始まる前に、開幕戦で長崎に帰って試合ができるって聞いた時は、純粋に嬉しかったですし、昨年ももしかしたらその可能性があったんですけど、(長崎ヴェルカとの対戦時は)自分たちのホームだったので。しかも今年から新しいアリーナができて、本当に純粋に楽しかったなっていうような思い出しかないです。

ー年始には古巣・アルバルク東京との対戦がある

 これもまた、楽しみな気持ちがすごくあります。長く一緒にやってたメンバーもいますし、長くお世話になったチームですし、育てていただいた場所だと思っている。チームだけじゃなくてファンの皆さんもそうですし、そういった方々の前でプレイできるっていうのは楽しみな部分があります。

記者の質問に答える田中©Basketball News 2for1

“恩師”パヴィチェヴィッチHCは「話さなくても分かるような関係性」

ールカ・パヴィチェヴィッチHCとの関係性について

 (同じチームで戦って)何年ですか。あまり詳しくはないですが、ルカ(パヴィチェヴィッチHC)とは長く一緒にやらせていただいて、尊敬している。コーチという意味でもそうですし、ひとりの人としても尊敬している方なので、そういった方と長くできているってことはすごくありがたいことだなと思いますし、こういうケースが他にあるかといったらそう多くはないと思います。

この世界は毎年毎年、選手だったりコーチだったり入れ替わりますし、ずっと同じメンバー、同じコーチの下でっていうのはなかなか難しいことなのかもしれないですけど、そういった意味では自分は長く一緒にやれているなということに感謝しています。(パヴィチェシッチHCと)あんまり多くを話したりだとか、そういう感じではないんですけど、ここまで長く一緒にやっていると、小島選手もそうですけど、お互いに何を考えてるだとか、そういったことは話さなくてもわかるような関係性なのかなと思います。

ー後輩を育てていくという意識はあるか

 自分も、自分のやらなきゃいけないことに必死ですし、そういった「育てる」みたいな感じも気持ちはそこまでないのかなと思います。ただ、ある程度いろんなことは経験してきましたし、一緒にコートの上でバスケットをやるにあたって、自分が取り組む姿勢だったりとか、コートの上でやってることを見てもらって、いいものを彼らに与えられたらいいなというくらいで、特にそこまで(育てるというよう)な気持ちはないです。

ーチームの現状について

 ルカもシーズンをみた時に、いくつかのフェーズ(段階)に分けて考えているっていうようなことを自分たちにも話すんですけど、(11月の)バイウィーク入る前までの試合が第1フェーズ。バイウィークが終わってから、いま戦っているのが第2フェーズ。欲を言えば、もうあと2つ3つの勝ち星を取らなきゃいけない状況にもありました。ただ、このリーグもレベルが上がってきていると思いますし、力の差もどんどんなくなってきていますし、どのチームにも勝つチャンスがある。プラス、水曜日、土曜日、日曜日って試合が続いているタフな状況の中で、勝ち星を獲得していくっていうことは大変なことだということも理解している。タラレバになってしまうのかもしれないですけど、先日(第14節:12月21、22日)の滋賀の2試合目もそうですし、そういったもったいないというか、「取らなきゃいけなかったよね」っていう試合はいくつかあるのかなっていうのが正直な思いというか、現状だと思っています。

ーSR渋谷で成し遂げていきたいことは

 やるからには優勝を目指していますし、それは自分だけじゃなくて、ルカもそうだし、フロントスタッフ、チームメイト、みんなが思っていることだと思うので、そこ(優勝)を目指してやりたいなと思っている。ただ、チャンピオンシップに出ないとそのチャンスはないわけなので、自分たちは去年この場所を逃していますし、今年はそこの舞台に進めるように。その先はまた、自分個人的には、違うような戦いが待ってるんじゃないかという様なことは思うので、まずはそこのポジション(CS進出)っていうのを確保できる様に、シーズンを戦わなければいけないと思っています。

優勝を目指して練習にも励む©Basketball News 2for1

ー2026年から始まる新リーグ「Bプレミア」について

 あんまり何も考えてない様な選手に見られるので発言には困るんですけど、いい意味でも悪い意味でも、正直考えていないっていうのが本音ですかね(笑)。(Bプレミアが始まるときに)どうなっているかも分からないですし、どこにいるかも分からないですし。さっきも言いましたけど、この世界って結果が全てで、入れ替わりも激しいですし、そういった意味では毎シーズン毎シーズン、目先の、いま戦っている今年のシーズンに集中しています。全然、何も考えていないとかじゃなくて、来年くらいから、「どうかな?」くらいの感じで。楽しみな部分もありますし、いま色々ルールの変更だったりとか、話題に上がっていますけど、うちには選手会のリーダーのベンドラメがいるので。彼からも色んな話を聞いたりしますし、なかなかリーグ側が求めていることと、選手側が求めているものが、多少思いの違いがあるのかなと感じますけど、双方がいい思いでやれるようなリーグができればいいなと思いますね。

日本代表にもエール「若い選手はどんどん海外に」

ー今の日本代表について思うことは

 自分が代表活動してやってる時も、日本代表が国際試合で勝たないと日本のバスケットは盛り上がらないっていうことは常に思っていましたし、周りからも言われていることでもあって。多分、東京オリンピック終わった時に何かのインタビューで言ったんですけど、日本が今まで日本が国際大会の舞台にあまり出場できずに、こうして歩んできた中で、1個前の(2019年の)W杯と、(東京)オリンピックというのを経験して、結果は出なかったですけど、ここからスタートというか、こういう舞台を毎回毎回繰り返していって強くなるんじゃないかなっていうようなことは話させていただいたんですけど、まさにそういう流れになってきていると思います。

 それはリーグを戦いながら、休みを返上してまで代表のために戦っている選手たち、スタッフもそうだと思うんですけど、そういう方々の努力の結果だと思いますし、これを続けていってもらって、今回の(パリ)オリンピックでも惜しかったですけど、勝ち星を取ることは出来なかったわけなので。次のW杯、次のオリンピックでそれが達成できるように。何事もいきなり上手くはいかないと思いますし、ステップバイステップだと思うので、頑張って欲しいなと思います。

 成長しているのは間違いないと思うので、今の若い子たちも試合は見ていただろうし、そういうのって自分の中では、昔と違って大きな差じゃないかなと思うので。そこの舞台を目指したい選手もたくさんいるだろうし、これからますます強くなっていくんじゃないかなと思います。

ー河村勇輝や富永啓生ら若い世代の海外挑戦をどう見ている?

 自分たちが若い頃、Bリーグができる前もそうですけど、そういったイメージ(海外挑戦)があったかというとなかったですし、そういった中でも自分より上の先輩方だったりとか、自分の年代もそうですけど、みんなが必死に日本のために頑張ってきたからこその「今」があると思っている。よく渡邊(雄太)選手もそういった発言されてると思いますけど。さっきも言いましたけど、成長しているのは間違いないと思うので、河村選手だったり富永選手だったり、そういう選手に続いて、若い選手が世界にどんどん出ていく状況になれば間違いなく強くなるんじゃないかなと思っています。サッカーがいい例だと思っていて、今代表を見るとほとんどが海外組の選手ですし、そうなることが、日本代表がもう一つ上のステップにいくためには必要なことかなと思います。

ー2024-25シーズン、後半戦に向けての意気込み

 去年(2023-24シーズン)、あと少しのところでチャンピオンシップを逃したわけなんですけど、今ここまで試合を戦ってみて、その反省があるにも関わらず、取りたかった試合を取れなかったりとか、という状況がみられる。これから戦う相手も同地区のライバルチームが増えてきたりだとか、タフな試合が入ってくると思う。ここから先はどれだけ自分たちが去年の悔しい思いを忘れずに、先に行きたいかっていう強い気持ちだったりとか、試合が続くことによって肉体的にも疲労がくるんですけど、メンタル的にもすごく疲労がきて、そこ(メンタル面)が保てないと、チームとしても個人としてもどんどん疲弊していくと思うので、強い覚悟と責任を持って戦うことが大事かなと思います。個人的にも状態をもう少し上げて後半戦に向けて戦っていけたらと思いますし、冒頭でも言いましたけど、体には気を遣いながら、なるべく離脱することのないようにやりたいなと思っています。

(金野 恵理)

後半戦に向けて状態を上げたいと話す©Basketball News 2for1

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