Bリーグ1部(B1)の 京都ハンナリーズは19日、2026年開幕の新リーグ「B.LEAGUE PREMIER」の4次審査をクリアし、初年度の参入が決まった。京都は「売上高12億円以上」と「平均入場者数4000名以上」という審査基準はクリアしていたものの、アリーナ基準が審査中であったため、Bプレミアライセンスの参入初回審査である1次から3次審査の対象とはなっておらず、4次審査でのクリアとなった。
リーグからの発表を画面越しに見つめていた松島鴻太社長は、島田慎二チェアマンからBプレミア参入決定が発表されるとチーム編成を担当する渡邉拓馬GMと握手を交わし、フロントスタッフと共に喜びを分かち合った。その直後のリーグとの中継では声を詰まらせ涙ぐむ場面も見られた。
Bプレミア参入決定後には記者会見が行われ、松島社長と渡邉拓馬GMが記者の質問に答えた。
松島鴻太社長のコメント
― Bプレミア参入が決まって
はじめに応援していただいた皆様に心から感謝申し上げます。私たちだけの力だけでは決してここまで到達することはできませんでした。2年半前、明確に当時の新B1(現Bプレミア)参入を目指すということを就任と同時に掲げました。そこまでのクラブの歴史もあって皆さんが積み上げてきた部分もあったんですけど、新たに扉を開きスタートを切った形かと思っています。
当初、(Bプレミア参入は)難しいという声を聴く状況であったと思っていますし、そういう自覚もありました。ただ、目指さないと何も始まらないという気持ちで、「絶対に参入するんだ」と心に決めてスタートを切ったことを今でも思い出します。
何物でもなかった私たちがゴールから遠いと言われていたところから応援をいただいたブースター様。そして、多くのパートナー企業様、行政・関係者の皆様。ハンナリーズに関わる全ての皆様にご支援いただいてここまで到達することができた。まずここに関する感謝の気持ちが第一でございます。あとは嬉しさです。ほっとしているのが正直なところでございます。2年半いろんなことがありました。苦しいこともございましたし、くじけそうになることもありました。
ただ、そんな状況でも私たちを信じて応援していただいた皆様に対して必ず恩返しをしなければならないという強い気持ち。フロントスタッフを筆頭に、選手、チームスタッフ、はんなりん、学生インターン、取引先の業者様含めて、泥臭く死に物狂いで努力してくれたことがこの結果に結びついたと思っています。感謝と誇りに思います。険しい道を一緒に歩み切ったのは我々にとって価値のある素晴らしいかけがえのない2年半だったと思います。
もちろんチームに関わる人達だけじゃなくてブースターも一緒です。苦しい時も勝利を喜び、負ければ一緒に悔しがり、𠮟咤激励をいただきながら到達することができた。まさにチームスローガンである「共に、登る。」をクラブに関わる皆様と共に体現し続けた2年半だったと思います。
ただ、スタートを切っただけでございます。これから行政、京都府様の事業として新しいアリーナが2028年に完成するということが決まっております。そして、まだまだ私たちは何も成し遂げておりません。チームとしても必ず日本一のクラブになる、リーグで優勝する目標が残っております。
2026年Bプレミア開幕、2028年アリーナ開業、次なる目標は9,000人超満員のアリーナの中でファイナルを戦って優勝を決めていく。その姿を夢見てこれからもチームそしてフロントはもちろん応援いただく皆様方、ブースターの皆様、パートナー企業の皆様、関係者の皆様、メディアの皆様含め京都ハンナリーズ一丸、ALL KYOTOでそこまで到達していきたい、登り続けたいと思っております。ありがとうございました。
― 参考になったアリーナや新アリーナをどんな雰囲気にしていきたいか
沖縄のアリーナです。初めて視察したのが沖縄のアリーナでした。本当に観客の皆様が熱狂しているというか夢中になってバスケットボールを楽しんでいる人もいれば(琉球ゴールデン)キングスを応援している人もいればもちろんアウェイのチームを応援している人もいる。純粋にあの空間が熱狂しているなと感じました。ビジョンがあって座席が多くてエンターテインメントを感じて感動したんですけど、お客様の表情であったり、熱狂空間が非常に印象に残っています。
この世界観が京都で実現すればどんな未来が待っているんだろう、どんなインパクトをこの街に与えれるだろうと考えたときに非常にわくわくしました。なので現時点で目指すべきは沖縄アリーナ、そして(琉球ゴールデン)キングスさんのような街全体を巻き込んで熱狂を生み出して人々が感動を提供できるようなそんなクラブを目指してこの4年間しっかり積み上げていきたいと思っています。
何かしたからといってどんどん結果が出るわけではないので一人ひとり市民の皆様、府民の皆様に向き合って我々の熱を伝えて思いを伝えて積み上げていく、そういうことをしていきたいと思っています。
― Bプレミアでは成績による昇降格はなくなるが、現時点での経営の課題は
事業性というところで課題はあります。投資のフェーズではあるのかなと思います。4,000人の箱でホームゲームをやらしていただいている中で、キャパシティーの限界というところがありますので、4年後のアリーナ開業というのが事業性においてターニングポイントになっていきます。そこでしっかりとお客様に入っていただいてチケットを販売することが出来れば事業性が収益力が上がっていくのが目に見えているところ。
課題としては全部に共通するところですが、ファンベースをもっと拡大していかなければならない。認知から始まって、まだまだ京都の中でもハンナリーズを知らない方もいらっしゃいますし、我々の活動や思いを知らない方もたくさんいらっしゃるので、そういったところにハンナリーズを知っていただく活動から始まって、思いを伝えて興味を持ってもらい、会場に足を運んでもらう。その輪を広げていくことができれば、売上に繋がり、チケットやスポンサー様の協賛金、グッズの販売に繋がったりというところで経営力もしっかり上がっていくと思っています。
もちろん、マーケティングなどの空中戦やいろんなことも必要ですが、まずは私たちが市民や府民の皆様に対して一人ひとりに向き合い思いを伝える活動をずっとずっと積み上げていかなければならない。現状やっているところですが、課題であり、やり続けなければならない。
― アリーナの設計・デザインにはどれぐらい関われるのか
関わっておりません。そこは現時点で我々は利用させていただくというところで、まだ協議も始まっておりませんし、明確にそういった契約を結んでいるわけでもないので、そういった協議はしていない状況です。
― Bプレミア参入発表直後の涙が印象的でした。これまでで一番苦労したところは
本当に難しい挑戦でした。自分自身、覚悟を決めて「本当に(Bプレミアを)目指すんだ」と言い切るところにプレッシャーを感じていました。スポーツビジネスを経験してきたわけではなかったので、不安も大きかったです。ただ、私だけじゃなくて、不安もある中で本当にフロントスタッフがクラブ一丸となってやってくれた。そこの対する感謝があります。
― フロントスタッフへの感謝も印象的でした
もちろん、大前提として応援していただいている(ブースターの)皆様があってというところなんですけど、無謀な挑戦に付き合ってくれたというか、共感して一緒に戦ってくれたところに非常に感謝していますし、誇りに思います。長く応援してくださっているブースターの皆様、パートナー企業の皆様あっての結果だと思います。
― B革新のひとつであるフロントスタッフの待遇改善などについて
今から明確に数字をひいています。琉球ゴールデンキングスを見本にしていくと、売上高30億を超えている、そしてサラリーキャップ制度ができる中で僕たちがしっかりと積み上げられればブースターの皆様、コンテンツの部分、パートナーの皆様への恩返し、従業員の待遇に投資をしていくことをメッセージとして伝えています。
「ハンナリーズで働いていて良かった」と思ってもらえるような待遇をしっかりと出していく。ただ、「僕が与えるのではなくてみんなで掴み取るものだよ。みんなでクラブの価値を高めていくことが自分たちのところに返ってくるし、循環を生み出す。それでまた頑張って皆様にハッピーを届けていくという循環を生み出すんだよ」ということをきっちりと伝えています。そこもモチベーションにしながら、待遇だけではなくてやりがいも含めてです。頑張ってくれています。
― アリーナ周辺の混雑時の対策について
まだそこまでの想定は難しいんですが、アリーナ任せ、向日市の市民の皆様にお任せするのではなくて、きちっと私たちもそこに責任をもってコミットしないいかないといけない。ただ(アリーナを)借りてバスケットの興行をやりますというスタンスだけではいけないと思っています。皆様にとってポジティブなものでなければいけない。私たちがやらないといけない部分はたくさん出てくるのかなと思っています。
渡邉拓馬GMのコメント
-Bプレミア参入が決まって
チームとしてもっと登っていかないといけない。オーナーチェンジする前から関わらせていただいて(チームが結果を出せていないので)不甲斐なさを感じる。チームとして何か出来たとは思っていなくてもっと貢献しなくてはいけない思いのほうが強いです。
― 参入決定の瞬間
いけそうだという(感触を)松島社長から聞いていたので、(リーグから)呼ばれていた時点で可能性は高いと思っていましたが、やはりドキドキしました。試合の時とは違ったドキドキがありました。嬉しかったですし、松島社長の感情が溢れているところを見れば、少しでも貢献できているとしたなら関わってこられて良かった。
― 今後の体制について
ここまで(松島社長、渡邉GM、ロイ・ラナHCの)3人で作ってきましたし、ここから更に登っていかないといけない。絆を深めてやっていかないといけない。松島社長はビジネス面とチームの両方を見ていただいている。いろんな責任と負担もあると思うので、今後はチーム側からもしっかりビジネス側をサポートできるような気配りやアイデアでサポートしていきたい。