27日から開幕した2024-25シーズンのB3リーグ。トライフープ岡山は開幕節で岐阜スゥープスと1勝1敗とし、全体9位につけている。今季は「B3優勝」と「B2昇格」を目標に掲げている岡山。21日から23日かけて行われた天皇杯2次ラウンドではB1の長崎と好試合を演じるなど、シーズン開幕に向けて岡山への期待は高まっている。
天皇杯2次ラウンドの1週間前に行われたメディア向けの公開練習終了後、キャプテンの髙畠佳介が今シーズンにかける思いなどを語ってくれた。
コンディション良好「体大きくなった」
−今シーズンのチームの雰囲気は
めちゃくちゃ良いです。昨シーズンの反省を経て、コーチ陣もそうですし、残っている選手も(雰囲気がいい)。今年で昇降格が決まる。今年でしか僕らの力では昇降格が決まらないということもあって、みんな雰囲気も良いですし、外国人選手もコミュニケーションを取ってくれるので。本当に今年は期待できるんじゃないかなと思います。
−昨シーズンは髙畠選手がムードメーカーでしたが、今シーズンのムードメーカーは
僕が喋らないとだめなところはあるので、もちろん僕がやりますけど、今年は序盤は(佐藤)大成が声を出し、小池(文哉)がふざけるところもあるので、小池も頑張ってほしいなと思ってはいます。まだちょっと僕の度量には来てないと思っているので、それを教えていきたいなとは思っています(笑)。もうちょっと頑張っていただきたいですね。
−シーズン終了直後に「食べたいものを食べたい」と仰っていましたが、オフシーズンはどう過ごした?
はい。しっかり食べました。お酒もいっぱい飲みましたし、ジャンクフードもいっぱい食べましたし。(オフシーズンに入って)最初の1週間ぐらいですけど、やりたいようにやって。でも、やっぱり昨シーズンは相当悔しかったので、それを自分がやっぱり次のシーズンに反映していかなきゃいけないと考えた時に、すぐさまトレーニングに入ったり、バスケットをやっていましたね。
−体も大きくなった?
意識的に体を大きくしようと思った訳ではないんですけど、自分は2年前にヘルニアの手術があって、そこでちょっと体の使い方とかが今までとは違った使い方になった部分もあった。今年より松沢トレーナーにチームに関わっていただいたおかげもあって、体も大きくなった部分もあります。使い方の部分も良くなってきているので、コンディションとしてはすごくいいかなと思っています。
−オフシーズンの課題として「決定力」を挙げていて、決定力を上げるための「判断力」を上げることに取り組みたいと仰っていましたが、仕上がりは?
おごりたくはないですけど、感覚的には悪くないとは思っています。何試合か非公開で練習試合させていただいて、勝負どころの部分で多少なりともいい判断ができたのかなと。日頃の練習からもそうなんですけど、シチュエーションをすごく意識しながらやってるつもりではいるので、あとは試合でどこまでアジャストできるかかなと思っています。
“恩師”信州・勝久マイケルHCから学んだバスケ観
−島根スサノオマジック時代には現在の信州ブレイブウォリアーズ(B2)の勝久マイケルHCとウェイン・マーシャル選手の2人と一緒に戦っていましたが、そのときの話を聞かせてください
2人のことが大好きですし、マイケルさんのことは日本で一番いいコーチだと思っているぐらいです。人としてもそうですし、もちろんいろんなコーチがいて、いろんなコーチの方々に学んだんですけど、マイケルさんには(コーチしてもらったのが)1年間だったんですけど、bjリーグからBリーグになって、僕が思っていた常識を180度覆すようなこともすごく教えてもらったような気がしました。バスケットボールの知識として「もっとこうしたらいいんだよ」というのを、すごくいろいろ教えていただいたり、バスケに対する向き合い方をすごく教えくれたので、今、自分があるのはもちろんマイケルさんのおかげがすごく大きいと思っています。もちろん、今までのたくさんのコーチのおかげでもあるんですけど。
マイケルさんは、一番最初にbjリーグがBリーグに変わって(B1に)昇格する形だったんですけど、本当に良い出会いだった思います。オフシーズン絶対1回は連絡しますし、マイケルさんのことは今でも、もし機会があるならもう一度一緒のチームでやりたいなと思うくらい人格としても好きですし、バスケットの指導者としても僕は憧れていて、好きです。
ウェインに関してはすごく良いやつでたまに連絡取ったりもしますし、彼は僕が見てきた外国人の中でも本当に賢い。自分の悪いところを分かっていて賢くバスケットをやっているので、あんなに賢い選手いないなと思っていました。本当に優しいやつです。なので、本当に2人のこと大好きです。
−連絡を取るときはどういった話を?
マイケルさんの時は近況報告みたいな感じです。いつもジョークで「どうですか?髙畠と一緒にやってくれないですか?」みたいなジョークはいつもかましています(笑)。アシスタントコーチの久山さんともすごく仲良くて、久山さんには僕、島根時代本当に世話になったので。食事も何回も行かせてもらって、3ヶ月に1回ぐらい電話する仲です。2ヶ月に1回とか、なるべく連絡を取れる時は連絡して、本当に10分ぐらいの話題で終わろうと思っているのに1時間ぐらい電話しているみたいな。久山さんとも仲が良いです。本当に信州に今おられる3名はすごく絆が深い3人だと思っていて。特に久山と勝久マイケルさんの2人は自分のバスケット観を変えてくれた人なので、思い入れがあります。
−当時の秘話は?
めちゃくちゃ覚えてるのは、ひたすら自主練したと思います。僕もバスケットボール選手として未熟だと思っていますし、今でももちろん未熟なんですけど、もっと上手くなりたいと思っていました。何よりマイケルさんがすごいなと思うのは、言葉もあると思うんですけど、人に対する期待。「あなたに期待してるよ」というのをすごく感じたんです。選手のとき、多分それは全員が感じたと思うんですけど。(チームの)底上げがすごくうまい。「この人に応えたい」という思いがすごくあった。久山ACとマイケルHCも僕が自主練していたら帰らずに一緒に残って自主練をしてくれたので。なんか単純なクローズアウトのディフェンスなんですけど、それをひたすら3人でめちゃくちゃ練習した記憶はすごくあります。
あとは小ネタなんですけど、マイケルさんは寂しがり屋。本当はみんなとご飯行きたいんですけど、コーチという立場であまりみんなとご飯に行かないじゃないですか。僕はこういうキャラなので「マイケルさん、ごはんに行きましょうよ」と言って時々食事に行かせてもらったり。寂しがりでかわいいところとかあるんです。チームでだったかもしれないですけど、家に行ったら、机の上にバスケットのことを書いてあるルーズリーフがびっしりと詰まっていて、本当尋常じゃないくらい。「この人は本当にずっと好きなんだろうな」と思いました。この人に学べてよかったと思いますよ。この2人のことの喋ったらもう止まらないですね。
大森HCや中島代表に「有終の美を捧げたい」
− HCからキャプテンとして求められていること、プレー面で求められていることは?
キャプテンとしては内外でのリーダーシップを求められていると思っていますし、今年も昨年も「プロフェッショナルであろう」というところはすごくあるので、その中で「プロフェッショナルとはこうだ」ということを突き詰めて、行動と言動で示していきたいです。 今年の大森(GM兼HC)のテーマとしては「フィジカルにやる」というところ。節々で「フィジカル」が出てくるんですけど、それを余計自分が体現していかなきゃいけないんではないかなと思います。全てにおいて先導していけたらいいかなと思っています。
プレーは課題である終盤の決定力とか、試合を決定づける力を求められていると思っているので、「やっぱり佳介がいてよかったな」とチームメイトやみなさんに思っていただけるように示していきたいなと思っています。
−コンディションの仕上がりは
結構いいと思っています。ヘルニアの手術もあった中で、コンディションもすごくいいですし、いろんな選手ともコミュニケーションも取れています。自分としては(優勝は)今年なんだという思いが強いので、コンディションとしてはバッチリです。
−「昇格請負人」と呼ばれていることについて
Bリーグ初年度に島根で(B1に)上がったこともありますし、そう言っていただけるのはすごく光栄なんですけど、何人か仲の良い選手も昇格を経験していますし、それに囚われずに、今年は昇格するためにどういう行動をするかが大事だと思っています。日々の練習や日々の過ごし方が大事だと思っているので、その名に恥じないように、日々の生活から意識的にバスケットのためにチームのためにやっていけたらいいかなと思っています。
―今シーズン優勝したら「昇格請負人」から「優勝請負人」になる
大森や代表の中島とも昔からの縁もありますので、彼らに最後に有終の美を捧げたいという強い思いもあります。「やっぱり髙畠が昇格請負人だな」と言ってもらえるように頑張ります。
―負けたくないチームは
(古巣の)岩手ビッグブルズですね、やっぱり。自分たちの手で(B2に)上げたのもありますし、ほぼ知ってる選手が残っているということもあるので。楽しみではあるんですけど、すごくいいチームというのも分かっているので、だからこそ負けたくない。どこかしらで意識はしています。
―今シーズンのトライフープ岡山の印象は
いい意味で軍隊みたいなチーム。軍隊っていうとガチッとなっているかと思うんですけど、和気あいあいとしている。相手の嫌がることを喜ぶような悪者みたいな、悪者の軍団という今年かなと思います。アウェイで相手のチームが嫌がるのを見て喜ぶような「嫌がらせてやろうじゃないか」みたいな。和気あいあいとした「悪者の軍隊」、「やったろか」みたいな感じです(笑)。
(榊原かよこ)