Bリーグ1部(B1)は27日、各地で第28節を開催し、西地区4位の広島ドラゴンフライズはアウェーのおおきにアリーナ舞洲で同7位の大阪エヴェッサと対戦。序盤から大阪のアグレッシブな攻防に苦戦し、33ー42で前半を折り返すと、後半はケリー・ブラックシアー・ジュニアや中村拓人の活躍により一時は4点差まで詰め寄るも、終盤はファールに苦しみ、67-81で敗れた。
広島は、ブラックシアー・ジュニアが18得点5リバウンド、中村が16得点4リバウンド、山崎稜が9得点とチームをけん引。6日から続いていた連勝は「4」で止まった。
大阪には惜敗も司令塔・寺嶋離脱後に4連勝
昨シーズン、チーム史上最多となる41勝を挙げて初のチャンピオンシップ(CS)に出場した広島ドラゴンフライズ。今季はスタートこそ出遅れたものの、河田チリジの日本国籍取得などを経て徐々に勝ち星を伸ばし、2季連続となるCS出場も視野に入る位置につけていた。
上昇気流に乗ってきたかに見えたさなか、チームに暗雲が立ち込める。3日の千葉ジェッツとの対戦の中で、司令塔の寺嶋良が右膝内側側副靱帯などを損傷し、8~10週間の離脱を余儀なくされたのだ。さらに15日にはインサイドの要である河田も負傷で離脱し、3試合を欠場することに。群雄割拠の西地区で4位につけていた広島だが、主力2人の離脱はCS進出に向けて非常に大きな痛手になるとみられていた。
そんな中、チームは6日の佐賀バルーナーズ戦、20日の京都ハンナリーズ戦、そして23、24日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦と4連勝を記録。27日の大阪戦では敗れたものの、CS圏内の島根スサノオマジックに2ゲーム差につけており、ポストシーズン進出の可能性を十分に残している。
寺嶋や河田が不在の中で、ステップアップしてチームの勝利に貢献したのが中村拓人や三谷桂司朗といった若手選手だ。
プロ2年目23歳の中村は、寺嶋が離脱したあとに先発ポイントガードに抜てき。5試合で平均9.6得点、2.8アシストの活躍を見せ、大阪戦では16得点と気を吐いた。また、特別指定選手として加入している22歳の三谷もスターターに起用され、20日の京都戦では10得点、24日の名古屋D戦でも14得点を記録するなど、頭角を現している。
今季はベンチからチームの流れを変えるシックスマンとして起用されることが多かった中村。寺嶋の離脱によりスターターへと役割が変わったが、それでもやるべきことは変わらないと自信を見せる。
「プレータイムも増えてきた中で、僕自身は今までの役割をしっかりと果たすだけだと思っています。その中で、点を取るときは取りに行き、ディフェンスでチームのトーンをセットする部分は変わらないと思っているのでこれからの試合でも引き続きやっていきたいと思います」
中村や三谷ら若手選手の活躍については、エースのドウェイン・エバンスも目を細める。
「(若手選手たちは)本当に成長著しいと思っています。(中村は)今日もかなり良いパスが見受けられました。三谷も含め、チームに対して多大な貢献をしてくれています。ポイントガードの(寺嶋)良がいない中でもかなり成長を遂げている。プレーオフに向けてタフな試合が続きますが、このようなプレーを続けてチームにしっかり貢献してくれると思っています」
ミリングHC「ディフェンスから良いリズムを」
CS進出に向けて負けられない戦いが続く広島。今後は、群馬クレインサンダーズ、川崎ブレイブサンダース、島根スサノオマジックなどワイルドカードの枠を争うチームとの対戦が続く。ライバルとの対戦に勝っていくためには、チームのアイデンティティであるディフェンスを見直す必要があるとカイル・ミリングヘッドコーチは話す。
「本当に自分たちがやりたいバスケット、すなわちディフェンスの部分をしっかりと修正しなければいけません。この過去4試合を振り返って、やはりディフェンスから良いリズムを作ってオフェンスに繋げるというのが私たちのバスケットボールのアイデンティティだと信じていますので、その原点を見直して修正していければと思います」
司令塔として期待がかかる中村も「とにかくタフなゲームが続いていくと思うので、後先のことを考えるのではなく、チャンピオンシップに出るためにはまずしっかり一勝一勝していくのが大事だと思っている。目の前にあるゲームにしっかり準備して自分たちのやるべきことをしっかりと遂行していくのみです」と意気込む。
主力の戦線離脱というピンチをチャンスに変えた若手選手の活躍が光る広島ドラゴンフライズ。2季連続のCS出場に向けてタフな戦いが続いていくが、この試練を乗り越えた時にはチームはさらに成長しているに違いない。残り14試合、チーム一丸となって戦い抜く。
(田名 さくら)