今シーズンのBリーグで大きな躍進を遂げている三遠ネオフェニックス。昨シーズンを23勝37敗で終えたチームは、ここまで42試合を消化し、34勝8敗で中地区首位を走っている。同地区2位のシーホース三河には8ゲーム差をつけており、初の地区優勝、そしてチャンピオンシップ(CS)優勝も視界に入ってきている。
そんな好調のチームで目覚ましい活躍を見せているのが大浦颯太だ。秋田ノーザンハピネッツから移籍した今季は全42試合に出場し、平均7.9得点4.8アシストと堂々たる成績を残している。
過去4シーズンを秋田で過ごし、今季は新天地で躍動する大浦に、移籍を決断した理由や現在の心境、CSへかける思いなどを聞いた。
4シーズン過ごした秋田ノーザンハピネッツから移籍
ー改めて移籍した理由を教えてください
4年間秋田でやらせてもらって、その中でもプレータイムが最初に比べると最後の2シーズン(2021-23シーズン)というのは自分自身も辛いシーズンでもありましたし、その中でどうしたらいいかっていうのを考えながらやらないといけないっていうシーズンでもありました。
その中で大野さんの方から「来てくれないか」といわれて、すごく必要とされているように自分自身受け取れましたし、トランジションのバスケットをやりたいという中で、より試合に出ていろんな活躍ができるんじゃないかなと思いました。球団をはじめ、すごく来てほしいという熱量も(感じられて)いきたいなと思えたので。
最初に秋田に入ったのもディフェンスを学びたいという思いで入って、(その経験を)次のチームで生かせられたらなと思いながらの移籍だったと思います。
ー初めての移籍を経て、個人として成長できているポイントはどんなところでしょうか?
オフェンスの部分はすごく自分たちの判断でプレーすることが多く、その中でいろんなオプションを自分たちが持ちながらやらないといけないというのは、すごく考えながらバスケットができていると思います。
秋田のときは比較的セットオフェンスが多めだったので、セットオフェンスの遂行する高さを学べて、今は考えながら自由がある中で責任を持ってプレーをするというところは少しずつ成長できているのかなと思います。
ープレータイムが伸びてきている中で、重要な場面でボールを任されることが増えてきていると思います。その点について何か気持ちの変化はありますか?
最後の場面で誰が(オフェンスを)やった方がいいのかは考えながらやっていますし、その日によってやっぱり当たっている選手も違うので。コティ(・クラーク)に任せた方がいいのかとか、自分がやった方がいいのかとかは考えながらやりつつ、自分がやるときはやっぱり責任を持ってやらないといけないです。それこそ横浜BC戦は、最後に自分が打って外れて、決められてしまったので。責任を持たないといけないなと思いましたし、最後(ボールを)持つ以上、勝たせられるようにしないといけないなと思っています。
ー楽しさは感じていますか?
しんどい中でもそういった職業を選んで、やらせてもらえるということはすごく嬉しいことですし、疲れているというのは関係なしに出し切らないといけないと思います。自分が過去2シーズンで出られなかった中で、(試合に)出られることの「大切さ」だったり「喜び」というのは、出られない方がやっぱり辛いと思うので、楽しくプレーをできているのかなと思います。
司令塔として「もっともっと引っ張れる」
ースタッツも伸びてきています
満足はしていませんし、現状(第25節終了時点)として4連敗しているなかで、シーズンを通して勝ち越してはいますけど、もっともっとチームを引っ張れる部分もあると思います。得点だったりアシストだったり。佐々木選手が怪我をしている中で、スタートで出してもらっている以上、チーム全体5人を通して波がある試合を作ってしまっている(ようではいけない)。常に同じようにチームとして入られるようにしないといけないなと思っています。
ー司令塔として意識していることは
選手各々に強みだったり弱みだったりあるので、どこまでこの選手に任せた方がいいのかとか、これ以上やらせてしまうとミスに繋がったり自分たちの流れが悪くなってしまうといったことがある。そういったところはコミュニケーションを取ったりする中で意識しています。
いいシューターも多いですし、サーディ・ラベナみたいにすごくペイントアタックできる選手もいるので、僕があまり持ちすぎないようにはしています。ポイントカードで運んでくるときはボールを持つ時間が長いですけど、僕とビッグマンだけで解決してしまうとやっぱりシューター陣というのは難しいと思いますし、いろんなことができるシューターが2人いるので、いい意味で預けて選手たちにやってもらう、その選手たちのリズムを作ってもらった方がいい。今、チームとして全体的に得点できているので、そういったところは誰かに偏らないようにコティ(・クラーク)だったり、ヤンテ(・メイテン)だったり、すごく点を取りますけど、当たってるときにはああいった感じで持たしてもいいと思うんですけど、違うときにいろんな選手にボールを回さないと、このチームはいい方向にはいかない。誰かが持ち過ぎることはないように気をつけてはいます。
―チームも好調で、ファンやブースターも増えていっている状況だと思います。アリーナでの声援は力になりますか?
前節からチームとしても試合前の映像が変わったりで、琉球戦の2戦目だったりはすごく盛り上がっていました。あの試合は追い上げるムードでしたけど、追い上げていて歓声が沸くっていうのはすごく自分たちもわくわくしますし、ああいった中でバスケができているっていうのはすごく嬉しいこと、ありがたいことなので。今までボトムにいたチームで、お客さんもあんまり入ってなかった中で、これだけ平均して入ってもらっているのはすごくありがたいことで、これからどんどんブースターさんと一緒に成長していけたらなと思います。
初優勝へ高いスタンダードを
ーCSに向けての意気込みは
あまり緊張はないです。秋田のときにCSに1回出ていますけど、自分自身別にいいプレーができたわけでもないですし、2戦目はベンチから外れていて、すごく悔しさが残る場所だったので。違うチームで出られるっていう中で、初めての選手も多いですし、僕自身もほぼ初めてみたいなものなので。琉球戦だったり、A東京戦が本当にCSのスタンダードの戦いになってくる。あのスタンダードを自分たちで超えていけるかが大事になってくるので、僕自身もチームとして何ができるかを考えながらやれたらと考えています。
ーファンへのメッセージ
今、チームとしても苦しい状況ですし、初めて外国籍が出られないっていう試合が続いていて、勝ちたい試合、勝てる試合を落としてきて、4連敗中ではあるんですけど、自分たちの目指すところは変わらないと思います。CSでも誰かが抜けることはあるかもしれないので、そういった中でより自分たちのスタンダードがどこかを見せないといけない、コートで表現しないといけないと思います。
琉球戦の2戦目はヤンテ(・メイテン)が出られない中で、すごくいいスタンダードを持って戦えた試合だったと思うので、お客さんも声を出してくれたことで僕たちの力にもなりました。アウェイにもすごく来てくれますし、一緒にCS出場だったり中地区優勝だったり、CSでてっぺんを取る優勝するというのは僕たちだけじゃ戦えないと思います。ブースターさんと一緒にチーム一丸となって戦えればと思うので、引き続き会場に足を運んでいただいて一緒に力となって戦ってほしいです。