西地区首位を走る大阪エヴェッサ 破壊力抜群のオフェンスが武器に
琉球ゴールデンキングス戦でプレーする大阪エヴェッサのアンジェロ・カロイアロ©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部・大阪エヴェッサの勢いが止まらない。2023-24シーズン開幕から約1カ月が経ったが、大阪は開幕後7連勝とスタートダッシュを切ると、昨シーズン中地区首位の川崎ブレイブサンダースに1勝1敗、そして王者の琉球ゴールデンキングスとの対戦も1勝1敗で終え、第6節を終えて9勝2敗。強豪ひしめく西地区の首位に立っている。

 琉球戦との第1戦では、第4クォーターに一時3点差まで差を詰められるも、第3Qまでは圧倒し81-76で勝利。第2戦は76-94で敗れるも、昨季王者との対戦は堂々の1勝1敗とした。

 大阪の強さの秘密はどこにあるのだろうか。

開幕前に連敗 橋本拓哉「すごく不安でしょうがなかった」

 昨シーズン、27勝33敗、西地区5位でレギュラーシーズンを終えた大阪。2シーズン連続で勝率5割を切り、平均得点は77.5点(リーグ16位)、100ポゼッションでの平均得点を測るオフェンシブレーティング(Ortg)でも106.9(リーグ15位)とオフェンス面での課題が多かった。2020-21シーズンから3シーズンの間、エースとして所属したD.J・ニュービル(宇都宮ブレックス)を中心にオフェンスを展開し、苦しい場面ではニュービル頼りとなる場面も多々見られた。

 そんな中、今季チャンピオンシップ進出を目指す大阪は大きくチームを変革。前述のニュービル、長年チームを支えた帰化枠のアイラ・ブラウンなど7選手が退団し、高い得点力を誇るショーン・ロングなど新たに6選手が加入した。しかし、継続選手6人と新規選手6人の12人で挑んだ9月のプレシーズンゲームではB3の福井ブローウィンズ、B2の神戸ストークスに敗れ、天皇杯2次ラウンドでは今季B1に昇格した長崎ヴェルカに惜敗するなど、決して順風満帆な滑り出しとはならなかった。当時の気持ちを橋本拓哉「すごく不安でしょうがなかった」と振り返る。

 だが、そんな不安もなんのその。シーズン開幕節で富山グラウジーズ相手に2連勝すると、そこからは前述のとおり開幕7連勝。大阪の快進撃は止まらなかった。11試合を終えた時点で西地区首位、昨シーズン低迷したオフェンスでは平均86.5得点(リーグ3位)、フィールドゴール成功率48.3%(同1位)、3ポイント成功率40.0%(同1位)、アシスト21.1本(同2位)、Ortg115.0(同3位)とリーグ屈指の破壊力を誇るチームとなった。

敵将も認めるキーマン 新加入のアンジェロ・カロイアロ

 大阪のオフェンスを支える要がアンジェロ・カロイアロだ。ドイツ時代にはマティアス・フィッシャーHCのもとでプレーした経験もあるカロイアロは、現時点で19.7得点(リーグ5位)、5.3リバウンド、4.4アシストとオールラウンドなプレーでチームをけん引している。

チームをけん引するカロイアロ©Basketball News 2for1

 指揮官は「ゲームをコントロールできる力を持っており、経験豊富でオフェンスもディフェンスも何をすればいいか理解している。アンジェロ(・カロイアロ)がいることによって他の選手の得点に繋がっているので、チームのコア選手です」と評し、カロイアロがコートに立っている時間の得失点差は+9.1点(リーグ9位)と数字でも証明されている。また、第6節に対戦した琉球・桶谷大HCも「彼が大阪の1番の武器」と評価するなど、カロイアロは対戦相手にとっても脅威となっているようだ。

 両指揮官が認めるカロイアロは好調なチームをこう分析する。

 「大阪エヴェッサの選手は練習を楽しんでいて、オフェンスもボールをシェアしてみんなでバスケットボールをする形が自分にうまくフィットしていると思う。試合中、練習中は声を出して、みんなとコミュニケーションを取ろうとしている。どういうプレーをしたいなどあればみんなでシェアしてこれをやっていこうといつも話しています」

 リーグ屈指の得点力を持ちながらも、チームメイトとボールをシェアし、積極的にコミュニケーションを取るカロイアロの存在がコート内外でチームにいい影響を与えていることは間違いない。カロイアロの他にもBリーグで得点王になった経験もあるロングや、成長著しい木下誠など得点力があるタレントがそろっているのも大阪の魅力だ。

チーム内のコミュニケーションも良好だ©Basketball News 2for1

フィッシャーHC「これから必要になってくる選手」

 今季のB1で唯一、帰化枠・アジア特別枠の選手が所属していない大阪。混戦の西地区を勝ち抜き、チャンピオンシップに進出するためには外国籍選手だけでなく、日本出身選手の活躍が不可欠となる。

 そのキーマンとなるのが生え抜きスコアラーの橋本拓哉だ。2020-21シーズンには平均13.4得点を記録し、ベスト6thマン賞を受賞した橋本だが、2021年3月に右足首のアキレス腱を断裂。復帰間近となったタイミングで再び同箇所を断裂するという2度の大ケガを負った。昨シーズンは満を持して復帰するも「ゲーム感覚を忘れており、プレータイム制限もある中ですごく難しいシーズンだった」と持ち前のシュートは低迷し(FG35.6%)、ケガ前には相手チームが止めるのに苦労したドライブもキレが戻らず、思ったようなプレーはできなかった。

 一転、今シーズンは序盤からエナジー全開で素晴らしいプレーを見せている。

 「今年は自分自身もトレーニングや実戦練習など全部のメニューをこなしてシーズンに入れたので、そこが(昨シーズンとの)違い。恐怖心はあるのですが、少しずつ薄れてきています」

開幕から好調を維持している橋本拓哉©Basketball News 2for1

 その言葉が表す通り、今季は平均13分51秒の出場で6.5得点を記録するなど効率の良いオフェンスを披露。FG成功率52.2%、3P成功率53.8%、FT成功率81.8%と持ち前のシュート力でも遺憾なく力を発揮している。フィッシャーHCも「オフェンスもディフェンスも今シーズンは自信を持ってプレーしていると思います」と橋本の充実ぶりを評価する。また、オフェンス面だけではなく、ディフェンス面についても指揮官は高く評価しているという。

 「ディフェンスは大阪の中でもフィジカルな選手ですし、琉球のようなフィジカルなチームに対してこれから必要になってくる選手です」

 指揮官のそのコメントに対して、「ディフェンスは好きですか?」という質問を橋本に投げかけた。

 「昔は嫌いでしたけど、そこしか褒められないので」 

 笑顔で答えた表情からも今季の充実度が伝わってくる。フィッシャーHCが目指すアグレッシブなディフェンスのアイデンティティは選手たちにも根付いてきているようだ。

会見中、笑顔を見せる橋本©Basketball News 2for1

3シーズンぶりCS出場へ「後半戦に成長」

 「CS出場を目指したい、そして皆さまに愛されるクラブにしていきたい」

 黒木雄太GMはシーズン前のブースターミーティングでこう所信表明をした。

 琉球との第2戦では2019年12月15日以来、約4年ぶりに6,000人(公式発表は6,038人)を超える観客を動員し、今シーズンの大阪の注目度の高さを象徴する試合となった。今シーズンここまでホーム戦は全て4,000人を超える集客をしており、平均4,669人とB1クラブの中で7位に位置付けており、ブースターの期待も大きい。

 11試合を終えて上位5チームが勝率6割を超えるなど、ファンの間で「魔境」と呼ばれている西地区。その魔境で開幕から首位をキープする大阪だが、指揮官は一切の油断を見せない。琉球との第2戦の敗戦後には「現段階では大阪はトップカテゴリまでは到達していないと考えます。今日みたいな試合からいろいろ学んで、これから後半戦に成長してどれだけできるかというのは自分たちのゴール」と気を引き締めた。

 新加入選手の活躍と継続選手の躍動でスタートダッシュに成功した大阪。第7節はアウェーでファイティングイーグルス名古屋、バイウィーク前最後となる第8節は2シーズン連続で1勝3敗と負け越している強豪・名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの対戦を控えている。2020-21シーズン以来3シーズンぶりのチャンピオンシップ出場を目指すためにも、バイウィーク前を3連勝として弾みをつけたいところだ。

(吉本宗一朗)

記者の質問に答えるマティアス・フィッシャーHC©Basketball News 2for1

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