名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、ケガ人続出も全員バスケでつかんだチャンピオンシップへの切符
3Pショットを放つ名古屋ダイヤモンドドルフィンズの中東泰斗©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部は3月7日から9日にかけて、各地で第30節を行い、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはアウェーのおおきにアリーナ舞洲(大阪市)で大阪エヴェッサと対戦。激戦区である西地区同士の対決は第1戦は80-76で大阪が勝利、第2戦は81−87で名古屋Dが雪辱を果たし、一勝一敗に。名古屋Dは2季連続となるチャンピオンシップ(CS)進出を決めた。

 第1戦、互いに強度の高いプレーを披露し、名古屋Dが40−41と1点を追いかける形で前半を折り返す。しかし、後半は大阪のエーススコアラーであるディージェイ・ニュービルを中心に得点を重ねられ、第4クォーター(Q)残り5分40秒にはアイラ・ブラウンの得点によりこの日最大となる9点をリードされる。残り50秒には中東泰斗が3Pを沈めるなど最後まで粘り強く戦うも、4点差で惜敗となった。

 翌第2戦、スコット・エサトンを欠く名古屋Dは第1Q開始2分30秒からアラン・ウィリアムズが連続5得点と奮起し、主導権を握る展開に。12点リードで迎えた後半、第4Qに大阪のブラウンのダンクやニュービルの3Pを許し、残り1分15秒には5点差まで詰め寄られるも、直後のポゼッションで中東泰斗が3Pを沈め勝負あり。87−81で前日の雪辱を果たした。

 この試合では、アラン・ウィリアムズが21得点14リバウンド7アシスト5スティール、中東が20得点4リバウンド2アシスト、クラークが16得点5リバウンド4アシストを記録した。

©Basketball News 2for1

ショーン・デニスHC「お互いを信頼している」

 第1戦では敗れはしたものの、CS出場を確定させた名古屋D。今季はケガ人が相次ぎ、試合にエントリーできる選手が少ない中でも着実に白星を重ねてきた。第2戦では、前日まで出場していたエサトンが体調不良のため欠場するなど6選手を欠く、ロスター登録8選手での戦いとなるも、前述のウィリアムズや中東を中心に5選手が14得点以上を記録するバランスの良さで接戦を制した。

 第2戦の試合後、記者会見に応じたショーン・デニスヘッドコーチ(HC)は選手が少ない中でも勝利を重ねられている理由についてこう語った。

 「根気よくプレーすることです。うちのバスケットをやり続けることで、今日はそれができました。昨日はそれがあまりできなかったのでちょっと残念でしたが、本当にチーム全員で信じているし、やっていることを信じている。お互いを信頼している、そこが大事だと思います」

記者の質問に答えるショーン・デニスHC©Basketball News 2for1

 元々1試合平均22.8アシストとリーグ1位の数字を残している名古屋Dだが、1試合平均7.2アシストを誇る司令塔・齋藤拓実が離脱した後も質の高いチームプレーを継続。大阪との第2戦でも素晴らしいパスワークから得点を重ね、フィールドゴール(FG)33本に対しアシストは25を記録。FG・3P成功率ともに50%と高水準のプレーを披露した。

エサトン欠場もアラン・ウィリアムズが攻守で貢献

 多くの選手が戦線を離脱する中、3月6日にウィリアムズとの契約が発表された。

 アメリカ出身、203cmのセンターのウィリアムズはNBAでのプレー経験もあり、2016−18年にはフェニックス・サンズ、2018−19年にはブルックリン・ネッツでプレー。3月15日の琉球戦から試合に出場しており、出場した10試合すべてで15分以上のプレータイムを獲得し、平均得点は13.8点と加入直後からチームに貢献している。

獅子奮迅の活躍を見せたアラン・ウィリアムズ(右)©Basketball News 2for1

 第2戦では加入後2度目のスターティングメンバーにも起用。ビッグマンのエサトンを欠く中、この日のゲームプランは「インサイドにいるウィリアムズへボールを集めること、そしてインサイドへと相手のディフェンスを縮めてオープンショットを狙うこと」だったとデニスHCは話す。

 指揮官の期待通り、インサイドでの強さを見せたウィリアムズはチーム最高の21得点を記録し、14本のリバウンドと7アシストと獅子奮迅の活躍を見せた。

 「センター(ウィリアムズ)がアシスト7本というのは、本当に彼が自分の役割を果たしているということです」とデニスHCもウィリアムズの活躍に目を細める。

ハンドラーとしても存在感を増す中東泰斗「守備からリズム」

 今季、47試合でスターティングメンバーに起用されている中東は、この日20得点をあげチームをけん引した。6本中4本の3Pを決め、試合終盤には勝負を決定づけるショットを沈めた。

 苦しいチームの状況の中で、本来のポジションであるシューティングガードだけでなくポイントガードとしての役割を担うようになったという中東は「今はメインハンドラーの齋藤選手が出場できていない中で、自分がハンドラーのポジションをする時間帯も増え、メインでプレーすることがすごく増えているので、そこで自分が20得点くらい取れるようなプレーが増えてきているのかなと思います」と自身の得点が伸びている要因を分析する。

記者の質問に答える中東©Basketball News 2for1

 また、デニスHCも「ポイントカードのポジションを全員で埋められているというのは本当に素晴らしいと思います」と語り、中東や他の選手がハンドラーとしての役割を担うことでケガ人の穴を埋められている現状について手ごたえをつかんでいる様子だ。

 好調のチームにとって接戦を落とす悔しい敗戦となった第1戦について中東は「昨日(第1戦)みたいなゲームになったときに、ちょっとオフェンスに意識がいってしまってディフェンスがおろそかになってしまうことが露呈してしまったので、やっぱり勝ち抜くためにはディフェンスがすごく大事だと思います」とコメント。

 「8連勝と続いたときもやはりディフェンスがすごく良かったので、そこをオフェンスではなくて、自分たちはディフェンスからリズムを作るということをもう1度、残りの10試合で確認していかなきゃいけないなと思います。今日はしっかり修正してカムバックできたことはCSにも繋がる試合だったかなと思います」と、ディフェンスの重要性とCSに向けての手応えを語った。

上位進出狙える終盤戦 まずは万全な状態に

 ケガ人が相次ぐ中でも勝利を重ね、CS出場をつかみ取った名古屋D。2位の琉球ゴールデンキングスとは3ゲーム差、3位の広島ドラゴンフライズとは1ゲーム差と上位進出も狙える位置につけている。激戦の西地区で一つでも多くの勝ち星を伸ばしたいところだが、4月12日のアウェー滋賀レイクス戦は選手4名のインフルエンザ感染と選手2名の負傷のため、エントリー要件を充足せず不戦敗で試合中止となることが発表された。

 この終盤戦で自動的に1敗を重ねてしまうことは非常に痛手だが、なによりも重要なのはチームが健康な状態でCSを迎えることだ。昨シーズンはCSクォーターファイナルの川崎戦で選手が揃わず不完全燃焼で終わってしまっただけに、名古屋Dの今シーズンにかける思いは強いことだろう。レギュラーシーズン残り9試合は同地区上位の広島、島根とのホーム戦も控える。シーズン終盤、ディフェンスからリズムを作り勝利を重ね、万全な状態でCSに臨む名古屋Dを期待したい。

(田名 さくら)

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