
2024-25シーズンはBリーグ1部の全体9位でシーズンを終え、チャンピオンシップ進出に一歩届かなかった名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。菊池真人の引退や中務敏宏のB3への移籍でベテランがチームを離れた今シーズンは、リーグ随一の得点力を誇るアーロン・ヘンリーや帰化枠のカイル・リチャードソン、3季ぶりの復帰となったアラン・ウィリアムズらを新たに加え、強力な布陣が完成した。
若返ったチームの中で注目を集めるのが、今季新加入の小澤飛悠だ。中部第一高校在学時にはU18男子日本代表にも選出され、「FIBA U18アジア選手権2022」の準優勝にも大きく貢献。日本体育大学では主力選手として活躍し、スプリングトーナメントではMVPと得点王に輝いた。大学3年生で大学を退学し、プロの道を選んだ小澤。20歳という若さでプロ入りを決めた理由や今シーズンへの意気込みなどを聞いた。(※取材日は2025年8月25日)

「リスペクトできる選手が多い」
――このタイミングでプロになろうと決断した理由は
来年度から「Bリーグプレミア」になるということで、自分が行きたいチームに行けなくなる可能性もありました。自分が一番成長できるところに行きたくて、自分がルーキーイヤーで一番成長できるのは名古屋ダイヤモンドルフィンズさんかなって思ったので、決断しました。
――名古屋Dで成長できると感じるポイントはどんなところでしょうか
リスペクトできる選手が多くて。高校の先輩である張本天傑さん、日本代表の経験をしている今村佳太さん、中東泰斗さん、そういうウイング人の方ともマッチアップできる。リスペクトできる選手が多いというのは一つの理由としてありました。

――実際にチームに入ってみて、チームメイトの印象は
優しいし、結構気にかけてくれています。チーム練習に少し遅れて入っている部分もあるんですけど、質問に対して、しっかりと長く話してくれて分かりやすく話してくれるし、ご飯とかも誘ってくれるし、すごくいい先輩たちです。
――大学でプレーする選択肢もありましたが、決断に迷いはなかったですか
迷いはもちろんあったし、大学の先生ともたくさん話しました。チームの先輩とか、同期とかにも相談して、インカレで優勝できていなくて、その心残りがあったんですけど、チームメイトに相談した時に「お前はもう(Bリーグに)行くべきだぞ」という前向きな言葉をかけてもらって。その時に、自分が「インカレで優勝できていないのが心残りではあります」と先輩に相談しても、「インカレは俺らが取るから」という言葉をかけてくれて。自分としては、自分の成長にフォーカスして決断できました。
「若手らしくチャレンジしていきたい」
――プロでやっていくのに自信が芽生えた瞬間やきっかけは
大学2年生の時に李相佰杯という日本代表の学生選抜と韓国の学生が戦う試合があったんですが、その時に自分は全くプレータイムもらえず、なおかつ3試合で0点という結果で、本当に悔しかった。大学3年生の時もその李相佰杯に選んでもらって、その時に前年の悔しさがあったので、しっかりと活躍できた。勝ち越すことはできなかったんですけど、第3戦でしっかり勝ち切ることができて、自分の成長も感じたのが一つ。スプリングトーナメントで自分が得点王とMVPをいただいて、チームのおかげでもあるんですけど、自分の成長でもあるのかなっていうので、今の自分ならプロでも通用するっていう自信がついたのは一つあります。
――プロでやっていく上で、不安やプレッシャーはありますか
そんなになくて、若手なので若手らしくチャレンジできることはチャレンジしていきたいです。失敗しても、たくさんチャレンジする機会はまだまだあると思うので、チャレンジして失敗しても、名古屋Dのチームメイトだったら「そこシュートを打つなよ」っていう感じではないと思うので。「飛悠、どんどん打っていけ」って言ってくれるチームメイトなので、それに関しては不安とかはなくて、自分ができることをしっかり一つずつやっていこうかなと思います。

――高校時代を過ごした愛知でのプロキャリアスタートとなります
高校3年間は一番きつい3年間ではあったので(笑)。でもその分、一番思い出のある3年間だったし、地元は山梨県なんですけど「第2のふるさと」と言っていいほど思い出が濃い愛知県で、もう1回愛知県の皆さんとバスケットができるっていうのはすごい嬉しいです。
――オフの日はどんなことをしてリフレッシュしていますか?
カラオケが好きですね。カラオケは1人では行かないんですけど、友達と行ったりとかはしますね。一番得意なのはコブクロの「赤い糸」っていう歌なんですけど、それは得意です。あとは、back numberとかMr.Children。そういう落ち着いた失恋ソングみたいなものを歌います(笑)。
――最後に、ファンやブースターに向けてメッセージをお願いします
少しでもチームの力になれるように頑張るので、応援をお願いします!
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190cmと大きな体だが、話を聞くと20歳らしくまだインタビューの場に慣れていない様子だった小澤。ハニカミながら慎重に言葉を選ぶ姿は、初々しく素直な人柄を感じさせ、真っ直ぐな眼差しで自分の思いを語る姿は力強さと誠実さが溢れていた。ルーキーとして名古屋Dで活躍する姿に期待したい。
(榊原かよこ)






