三河との“CS前哨戦”に連勝の宇都宮ブレックス 比江島慎は優勝に自信「タレントも揃っている」
宇都宮ブレックスの比江島慎©Basketball News 2for1
Bリーグを中心に、Wリーグや学生バスケ、日本代表など日本のバスケットボール界を取材し、情報発信をするメディアです。バスケットボールに関するさまざまなニュースをピックアップし、お届けします。

 Bリーグ1部(B1)は5日と6日の両日、各地でレギュラーシーズンの第29節が行われ、東地区首位の宇都宮ブレックスはアウェイのスカイホール豊田で中地区3位のシーホース三河と対戦した。

 第1戦、宇都宮はリズムよくボールを動かしながらオープンな3ポイントシュートを高確率沈め、前半を終えて44-40と4点リードで折り返す。後半は開始早々、ダバンテ・ガードナーザック・オーガストに連続して得点を決められて逆転を許すも、D.J・ニュービルが3Pやドライブで何度も流れを引き戻す。遠藤祐亮比江島慎が最終クォーターに連続で3Pを沈め、87-81で第1戦に勝利。チャンピオンシップ(CS)進出を決めた。

 翌第2戦、宇都宮は強度を上げたオールコートディフェンスが機能し、序盤から主導権を握る。第3Qには三河に2点差まで迫られる場面もあったものの、焦ることなく冷静に対応し、流れを相手に渡さない。最終クォーター、一進一退の展開の中、リバウンドからのセカンドチャンスでグラント・ジェレットが立て続けに3Pを沈めて引き離し、79-61で快勝した。

 第2戦では宇都宮はジェレットが3P4本を含む25得点、比江島が13得点、ニュービル 、アイザック・フォトゥがともに11得点を記録。第29節を連勝で終えた宇都宮は通算成績を40勝9敗とし、地区優勝マジックを5に減らした。全体順位では首位の中地区・三遠ネオフェニックス(41勝7敗)と1.5ゲーム差の2位につけており、同7位(ワイルドカード上位)の三河とは現状の順位のままだとCSクォーターファイナルで対戦することとなる。

 試合後の記者会見ではジーコ・コロネルHC代行、比江島、遠藤が記者の質問に答えた。

ジーコ・コロネルHC代行の三河戦後のコメント

-三河戦(第2戦)の総括

 三河さんはリーグの中でもトップチームの1つであると思いますし、オフェンス能力に長けているチームで、HCを始め、コーチ陣にしっかり組織立てられたチームなので、自分たちにとっては今日の試合(第2戦)は大きなチャレンジでした。そんなオフェンス能力の高い三河さんの1ポゼッションごとの得点を0.8に抑えることができたのは、自分たちのディフェンス、選手たちの頑張りが素晴らしかった成果だと思っています。

記者の質問に答えるジーコ・コロネルHC代行©Basketball News 2for1

-第1戦よりディフェンスが機能していたが、変えた部分はあるか

 昨日(第1戦)もディフェンスは悪くなかったが、今日(第2戦)の方がよりいいディフェンスができたと思います。三河の3Pの確率をしっかり抑えることができたが、自分たちの3Pの確率もなかなか上がらなかった。そこはトレードオフという感じになった。

 試合の序盤は三河さんに良い形でオープンなシュートを打つチャンスを与えていたが、(三河が)シュートを落としてくれたところがある。自分たちは選手層が厚いところが強みだと思う。コートに立った時はハードにプレーしないと、プレータイムはチーム内で競争なので、しっかりハードにプレーしないと試合には出られないよという話をしているので、そこで強度をあげて相手に気持ちよくオフェンスをやらせないというというところができた成果だと思います。

-CSで対戦する可能性のある三河との対戦について

 三河さんはおそらくかなり高い確率でチャンピオンシップに出場する可能性がありますし、また対戦する可能性があります。このタイミングで三河さんと対戦できたということは良かったと思います。今の対戦で自分たちのパフォーマンスが悪くて、良い結果がでなければ、そこからCSに向けての準備はより難しくなってしまうので、この週末しっかり良い形で戦うことができたので、それは今後もしCSで三河さんと対戦することがあった時のためにも、すごく良い週末にできたと思う。

-ここから1ヶ月間の戦い方は

 ここからの一ヶ月間は連戦が続いて、タフなスケジュールが続くが、その中でCSを見据えて、まだどのチームと当たるのかは分からないが、チャンピオンシップで当たりそうなチームが、例えとして2-3ゾーンを多用してくるチームなら、残りのレギュラーシーズンの中で2-3ゾーンを使うチームがあれば、先を見据えながらそこで2-3ゾーンの対策をやっていく。そうすれば、もしチャンピオンシップで当たった時、「あの時やったよね」とそれを選手たちに思い出させて、すぐ対応できると思うので、そういったところも見据えながら残りのシーズンを戦っていきたいです。

比江島慎の三河戦後のコメント

-第1戦よりディフェンスが機能していたが、変えた部分は

 変えたところは特になくて、昨日と同じプランでしたが、最近ジーコ(コロネルHC代行)になって、2日目に強豪に対してなかなか勝てなかったりというところがあった。相手が修正してきたところに対して受け身になってしまうことがあったので、そこの改善をしっかりして、自分たちからよりフィジカルにしかけていくことを意識してやった結果だと思います。

インタビュー後に笑顔を見せる比江島©Basketball News 2for1

-三河に連勝したが、接戦を勝ちきった手応えは

 悪いときはオフェンスでなかなか上手くいかない状況のまま、ディフェンスもそれを引きずってしまうところがあったが、終盤にかけてディフェンスで我慢して、主体にしている3ポイントが入らないときも、しっかり我慢してディフェンスで食らいついていくことができてきているところが良かったと思います。

-CSに向けて強化していきたい部分は

 去年のチャンピオンシップの千葉との対戦で、本当にわずかな隙というか、ルーズボール、リバウンドへの意識の低さが(あった)。それはチームが始まってからずっとチームの課題でもあったが、徐々に改善されてきている。そこさえしっかりしていければ、オフェンスも手応えを感じているし、ディフェンスもどんどん良くなっているので、そこ(ルーズボールとリバウンドの意識)を中心にやっていきたい。

 3Pが入らないときどうオフェンスを組み立てるかとか、チャンピオンシップでより強度が上がって、なかなかノーマークを作れない状況もあると思うが、その中でもインサイドと外のバランス良く、今日(第2戦)みたいな展開ができるようにやっていけたら、もっともっと良くなるのかなと思います。

 自分たちは、タレントも揃っているし、オフェンスのバリエーションも豊富。D.J(ニュービル)のマークがきついのは当たり前だと思うので、それをチームでどうプレッシャーリリースしていくかというのは、僕も含めてもっともっとやらなくてはいけない。彼の負担は攻守に渡りすごく大きいので、そこもやりながら。最後はやはりルーズボールの意識、そこだけ意識していけたらチャンピオンシップが取れるチームだと思うので、そこを意識してやっていきたいです。

遠藤祐亮の三河戦後のコメント

-第1戦からの変更点は

 ディフェンスはもう少し激しくできるところを映像で見てピックアップして、そこはもうちょっとプレッシャーをかけて激しくやろうねというのはありましたが、ゲームプラン的には変わることなく今日は挑んだかなという感じです。本当に(三河は)オフェンス力のあるチームなので、「ディフェンスから」というのをチームでコミュニケーションを取りながら2試合続けて、本当に2連勝したのが久しぶりなので、連勝できて良かったなと思います。

インタビュー後に笑顔を見せる遠藤祐亮©Basketball News 2for1

-CSで対戦する可能性のある相手だったが、意識はあったか

 チーム的にはそこの話はなかったですが、個人個人で順位は見ていると思いますし、(チャンピオンシップは)こういう相手と当たらなくてはいけなくて、連勝しなければいけない。本当にチャンピオンシップはどこと当たってもタフな状況ですし、今日勝ち切れたのも、1個のリバウンドだったり、ルーズボールだったり、自分たちの泥臭いところを出していければこういう強いチームにも自分たちは勝っていけるというのを今日2連勝して、再確認できた。どこが相手でも自分たちをぶらさずにやることが大事だと改めて感じた2試合でした。

-3Pが入らないときの打開策は

 ブレックスはアウトサイドだけでなく、インサイドが得意な選手が多くいるので、バランスを取りながら。相手のオフェンスが得意だけど、ディフェンスがあまり得意ではない選手が中にはいるので、そこを積極的につくというのをポイントガードとゲームをコントロールするような人間がやっています。

 今日だと鵤選手が(それをやって)、レイマン選手があまりインサイドのディフェンスが得意ではないというのをチームでも話していたので、そこを調子の良いグラント(ジェレット)が攻めたり、アイザック(フォトゥ)がゴリゴリやったり、そういう状況判断ができていたので、こういう接戦の2試合でも焦ることなく冷静に対応し続けられたと思います。

-チームの現状について

 いつでもポジティブな言葉を掛け合いながら、あとはやっぱり得点源というか、チームのエースである比江島、D.J(ニュービル)に厚いディフェンスがついて、その中でも得点してもらわなければいけない中で、どうやって2人をいかすのかというのをチームでうまくやりながら最近はできていると思う。本当に助け合いながら、ここがダメなら次の手を打ってというのがどんどんできていると思います。

-チャンピオンシップへ向けての意気込みは

 やっぱり、去年の反省というのが全員にあって、KB(故ケビン・ブラスウェルHC)もシーズン入る前からずっと、「5月に自分たちの最高が来るように」ということをチーム作りとしてやってきた。良いときも悪いときもあるけど、自分たちの習慣というか、良いところを伸ばし続けられるように、やり続けられるようにというのをずっと言ってくれていて、ジーコに変わってもそれは変わらず、みんなの共通認識としてできていると思う。

 チャンピオンシップだから特別に何かしようというのではなくて、自分たちの積み上げてきたものをぶつけられるように、残りのレギュラーシーズンをつかって、もっと強くなれるチームだと思うので、その強くなったチームでチャンピオンシップを戦っていけるように、1試合1試合積み上げていければ良いなと思います。

(高久理絵)

Twitterで最新情報をゲット!

おすすめの記事