
Bリーグ1部(B1)は5日、各地でレギュラーシーズンの第23節が行われ、中地区2位のアルバルク東京はホームの国立代々木競技場 第一体育館で東地区首位の宇都宮ブレックスと対戦した。
ともにディフェンシブな両チームの対戦らしく、第1クォーター序盤から激しい守り合いの展開となる。第2Q、A東京は宇都宮のディフェンスを割ることができず、約4分間無得点となる我慢の時間帯が続いたが、26−26の同点で前半を折り返す。
迎えた後半、宇都宮に3ポイントシュートを連続で許してしまい、少しずつ引き離されていく。10点ビハインドで迎えた第4Qのオフィシャルタイムアウト明け、レオナルド・メインデルが3Pシュートからの連続得点で会場にエナジーをもたらすと、ライアン・ロシター、テーブス海もそれに続き、一気に点差をつめる。一進一退の展開が続く中、メインデルが残り22秒に逆転の3Pシュートを沈め、勝負あり。63−61で競り勝ち、バイウィーク前から続く連勝を「5」に伸ばした。
宇都宮戦では、メインデルが3P3本(成功率75パーセント)を含む19得点4リバウンド、ロシターが18得点9リバウンドとダブルダブルに近い活躍。新加入のスティーブ・ザックは6得点7リバウンドとゴール下でしっかり役目を果たした。
第23節を終えてA東京は通算29勝11敗で中地区2位をキープしている。同地区首位の三遠ネオフェニックスを6ゲーム差で追っているが、後ろにはシーホース三河が1ゲーム差で迫ってきており、油断はできない状況だ。12日に行われる第24節は中地区6位のファイティングイーグルス名古屋とアウェイで対戦する。15日には、天皇杯決勝を控えており、琉球ゴールデンキングスと国立代々木競技場第一体育館で激突する。
試合後の記者会見では、デイニアス・アドマイティスHCとテーブス、ロシター、特別指定選手としての活動を終了した轟琉維が記者の質問に答えた。
デイニアス・アドマイティスHCの宇都宮戦後のコメント
ー宇都宮戦の総括
今日(宇都宮戦)の試合に関してはディフェンスが鍵だったと思います。しっかりと我々がコンスタントにプレーできたと感じています。もちろんミスはありましたが、連続したディフェンスのミスはなかったと思います。そして、(宇都宮)ブレックスさんの得意とする3ポイントを簡単に打たせなかったこと、ここが一つのキーポイントです。ブレックスさんは3ポイントのアテンプト、3ポイントからの得点がリーグの中でナンバーワン。ここをしっかりと止めること、簡単に打たせずに決めさせなかったこと、これがひとつの大きな勝因だと思いますし、勝負どころで、第4Qで3ポイントを5本決めたことが非常に、勝ちにつながったと思います。

ーバイウィークからどのような準備をし、シーズン終盤をどう戦うか
バイウィークに関しては、フィジカル面とコンディションのレベルを保つこと、ここを下げないこと、そして、一番大事なことなんですが、怪我をしないように怪我防止、それとシュート力を上げるようなシュート練習もかなりしました。トレーナー陣も含めて、しっかりと計算してから選手に怪我のないようなかたちで、残りのシーズンを最後まで戦っていくことを心がけています。
ーテーブス海の3Pから勢いがついたが、彼の勝負強さをどう評価しているか
もちろん海がいたら、チームがしっかり落ちついて、上がっていく感じがしますけど、いない時間帯をどうこなすか、というのは一つの課題です。ポイントガードとして海に求めていることは、しっかりとチームをコントロールしてまとめること、オフェンスをしっかりと固めること、ポイントガードとしてチームを引っ張ること、こういったことを今後の試合でも彼には仕事の役割としてやっていってほしいと思います。そして、彼ならできると感じています。いかにポイントガードとして大きくプレーして遂行すること、チームを引っ張ること、安定させること、これが彼のポイントガードとしての仕事。これは今後の試合でも必ずやってくれると信じています。
ーレオナルド・メインデルの献身性をどう評価するか
オフェンスでもディフェンスでも、彼の活躍は非常に良かったと思います。オフェンスではもちろん得点を取りましたし、ディフェンスに関しては、宇都宮の(D.J)ニュービル選手とのマッチアップ、そんなに簡単にニュービル選手に得点を許さなかったところが良かったと思います。一番良かったのは、いいディフェンスをした後に、レオがかなり得点を取ってくれたことがチームにとっても非常に大きかったと思います。オフィシャルタイムアウト後、10点ビハインドからこのようなゲームを勝ち切ることは非常に大きいですし、もちろんこのようなゲームで、ずるずると、簡単に負けるという展開もありうるところでした。ですが、我々としては最後まであきらめず、ギブアップせずに勝ちきったことは非常に大きい。
もちろんバスケットは40分の戦いですけど、例えば残り1分で、5点、7点ビハインドという状況もあります。私も経験がありますけど、そういったゲームをひっくり返すというスポーツですので、チームをしっかりと信じること、40分間戦いぬくこと、10点ビハインドからこのようなかたちで勝ったことは、今後の試合で非常にいい経験とプラス材料になると感じております。
テーブス海の宇都宮戦後のコメント
ー宇都宮戦の総括
今日は本当に40分間、どちらのチームもあまり気持ちよくプレーはできてはいないと思うんですけど、そのなかでも、自分たちが最後の最後まで我慢しつつ、最終的には自分たちのバスケットで、きん差ではありましたが試合に勝てて、非常に大事な一勝だったなと思います。

ー日本代表活動後いつチームに合流したか
チーム合流は(先週の)火曜日くらいです。練習は3回くらいしかできてなかったです。
ー宇都宮戦でもインテンシティが高かった
今日はやっぱり特別で。ブレックスと試合する時は、自然に強い気持ちが入ってしまうというか。特別な相手ではあるので、ブレックスとやる時は、「必ず勝ちたい」と強い気持ちを持ってやっています。
ーここからシーズン終盤に向けて
まずは一試合一試合大事に。チャンピオンシップを目指しているので、本当に一試合も落とせない中、怪我もせずに天皇杯決勝にいいかたちで入れるように、練習からいい準備をしていきたいなと思います。
ー流れがこない中で、どう試合中に立て直したか
「立て直す」という言い方よりは、「崩れない」というのが一番大事で、なかなかシュートは落ちていない中、ディフェンスのところがしっかりインテンシティを維持するのがすごい大事。それは相手の数字にも表れていると思う。なので今日は、「立て直す」というよりは40分間我慢しきれたというのが大きいと思います。
ー宇都宮の比江島慎と試合前と試合後に会話していたが、何を話した?
なかなか挨拶にこないので「なんで挨拶にこないんだ」って聞いてました。(試合後は)「ぐ、ぐ、グッドゲーム…」って言いました(笑)。
ライアン・ロシターの宇都宮戦後のコメント
ー宇都宮戦の総括
出だしからなかなか自分たちのプレーというか、リズムがつかめない複雑なゲームだったと思います。その理由として、ブレックスさんのディフェンスが非常にアグレッシブ、フィジカルだったため、自分たちのオフェンスがなかなかできなかったと思います。ただ、4Qはテーブス海を含めて、かなり全員が勝負どころでビッグショットを決めたことで勝つことができた。非常に大きな勝ちです。

ー自身で強くいく場面が多かったように感じたが
決めきれなかった部分ももちろんあったし、少しファウルとかを考えてしまった部分もある。しかし、ああいう時は強く決めることだけを考えるべきで、今後も自分がしっかりとアタックしていくことをしたいと思います。チーム全体としては、最後あきらめなかったこと、4Qでオフシャルタイムアウト後に残り5分でマイナス10点、これはもう全然追いつけるし、追いこせるし、勝てるという自信はありました。ひとつひとつのポゼッション大事にして、この5分間、最後逆転したことは、チームとしても大きな大きな一勝だったと思います。
ー新加入のザックとよくコミュニケーションをとっていたが、どんな話をしていた?
対戦相手として彼とマッチョアップした経験があるので、どのような選手かはわかっている。非常にフィジカルで強い選手なので、本当に心強いです。チームに入って間もないので、チームのシステムとか、まだまだ学ぶことがいっぱいありますが、彼の長所であるディフェンスやリバウンド、特に4Qのところでは「全てのリバウンドをもぎ取るような気持ちでやってほしい」というようなことを伝えました。
ーここからシーズン終盤に向けてどう戦っていくか
バイウィークの時も練習でかなりハードに戦ったので、そういった意味ではいい練習ができた結果、この(バイウィーク後の)3連勝につながったと思います。今後、プレーオフ(チャンピオンシップ)などもっともっとタフなゲームが続くので、しっかりとコンディションを保ちながら自分たちらしいプレーをしながら勝ち続けたいと思います。
ー天皇杯決勝に向けての意気込みは
天皇杯の前にまだFE名古屋戦が残っているので、そこからしっかりと状態をあげていきたいと思います。昨年長崎(ヴェルカ)に負けて悔し涙をのみましたので、今シーズンは(天皇杯優勝を)一つの目標としましたが、沖縄さん(琉球ゴールデンキングス)は非常に強くいいチームなので。その戦いにいい準備をして、天皇杯をとって、チャンピオンシップも取ると意気込みでいきたいと思います。
轟琉維の宇都宮戦後のコメント
ー特別指定選手という期間はどうだったか
大学では味わえない、貴重な体験ができた。フィジカル面だったり、外国籍とのミスマッチの戦い方だったり、ドライブした時のフィニッシュのずらし方だったり、そういうところすべてが自分にとっていい経験になったと思います。

ー大学に戻ってキャンプやトーナメントなどあるが、今回の経験をどう生かしていきたいか
この経験は東海大学で自分しかできていないので、まずこの経験をチームに落としこむこと。(Bリーグの)フィジカル面だったりは、大学バスケではなかなかないので、この経験を生かして、チームを勝利に導けるようなポイントガードになりたいなと思います。
ー新一年生には渡邉怜音などもいるが、彼らと一緒に戦う来年度の目標は
新入生にスーパースターの子たちが入ってくるので、選手層はかなり厚くなると思うんですが、大学バスケはスターがどれだけそろっても勝てないというところがある。チーム力をあげないと絶対勝てないので、まずは彼らとコミュニケーションをとりながら、日本一のチームを作れるようにがんばりたいなと思います。
ーチームメイトの中で、優しかった選手、いじわるだった選手は?
みんな優しいですけど、(平岩)玄さんは送り迎えもしてくれましたし、ご飯も常に一緒に食べてくださったので、本当に優しい先輩でした。いじわるな先輩ですか…(大倉)颯太さんですかね。颯太さんは、めちゃくちゃちょっかい出してきて、いじめられました(笑)。
(金野恵理)