Bリーグ2部(B2)は23日、各地でレギュラーシーズンの第4節が行われ、東地区・信州ブレイブウォリアーズはホームのホワイトリングで西地区のライジングゼファー福岡と対戦。92-77で勝利し、連勝を5に伸ばした。
昨季、B1で活躍したジョシュア・スミスを筆頭に、ジャスティン・バーレルや中村太地など力のある選手が揃っている福岡。特に210センチ、138キロとリーグ屈指の体格を誇るスミスやバーレルをどのように攻略するかがゲームプランの鍵を握った。
ビュフォード本領 第1Qだけで14得点をマーク
第1クォーター(Q)、信州はペリン・ビュフォードが最初の得点を沈めると、早速オールコートディフェンスで前線からプレッシャーをかける。バーレルのシュートを渡邉飛勇がブロックすると、そのまま渡邉が先頭を駆け抜け、速攻のレイアップ。「前から当たって、なるべく時間を削らせて、中に入れさせない」ことがゲームプランだったとキャプテンの栗原ルイスは語る。
その後はビュフォードの独壇場となり、放った6本のシュートを全て沈めて1Qだけで14得点を記録。テレンス・ウッドベリー、小玉大智も要所で3ポイントシュートを沈めて、チームの勢いを加速させた。
第2Qには生原秀将の3Pを皮切りに、ビュフォードのハイライト級のダンク、ウッドベリーの連続の3Pなどが飛び出し、前半を54-33で折り返すと、後半も勢いを落とすことなく勝利。ホーム3連戦を全て白星で飾った。
勝久マイケルヘッドコーチ(HC)は試合後、「福岡さんに勝つためにはエナジーをとにかく必要で、前から当たらなきゃいけない。簡単にポストを通して毎回プレーできるようなイージーな展開ではいけない。もちろん(ポストへ)入るときにはダブルチームで常に飛び回らなきゃいけない。常にローテーション、リバウンドも本当に大変なバトル。ずっとエナジーを使わなきゃいけないという中で、出だしから選手たちは本当にそれをよくやってくれたと思います」と選手たちを労った。
開幕から7試合を終え、試合を経る度に攻守両面でチームケミストリーとゲームプランの遂行力の向上が目に見えて分かる。栗原はそのことについて「特にディフェンスなんですけど、ルールがすごく細かくて、(福岡戦までの)1日の準備期間にしてはすごく(ゲームプランの遂行力が)高かった。今シーズン、一番できていたのかなと思います。もちろんミスはあるんですけど、やりたいことを全員が把握して、理解力とエナジーがすごい高かったので、こういう結果に繋がったと思います」と評価する。
プレーの幅を広げた小玉 勝久HC「彼の貢献が絶対に必要だった」
福岡戦では、サイズのあるスミスやバーレルらとの攻防でビッグマンを中心に信州のファウルがかさんだ。そこで活躍を見せたのが2年目の小玉大智だ。
185㎝ながら持ち前のエナジーを武器に、外国籍ビッグマンなどともマッチアップすることが多い小玉。今季は幅広いポジションを守れるように、オフシーズンには体重を100キロまで落とし、クイックネスの向上させるためのトレーニングに励んだ。プレシーズンからその成果は見られていたが、福岡戦では、ウイングとビッグマンの両方にマッチアップ。ガードのスピードにも対応し、ビッグマンに押し込まれないフィジカルなディフェンスを披露するなど、それぞれのシーンで素晴らしい守備を見せており、ポテンシャルの高さを感じさせた。
「ディフェンスでは、すごく体を張れたなど良いところもあったんですけど、例えば抜かれて(渡邉)飛勇さんをファウルさせてしまった場面もありました。そこは僕が1on1で守るわけじゃないですけど、カバーをしやすいとこまで追い込むとか、僕の中の課題っていうのはパワー負けしないし、抜かれないっていうのをもっと強化していかないといけない。プレータイムをもらったからこそ、気付ける課題だったなと思います」と小玉。活躍にも気を緩めることはなく、今後の伸びしろは十分だ。
要所では3Pシュートを2本沈めるなど、オフェンス面での貢献も見られた。
「(3Pを)ホームで決められたのは僕の中で大きい。ブースターさんに、あれだけ僕は練習してきたと言っていたので、そういう姿を見せられたのが一番良かったです。でもやっぱり打てるところでまだ打ってないっていうのがあって、それは僕が外したときにメンタルが沈んじゃっていて、ちょっと自信をなくしてしまった場面。第3Qだったんですけど、ペリンにも(石川)海斗さんに打ち続けろって言われて。そこでもっとしっかり自信持って打てるような選手というか、メンタリティを持たないといけないと感じました。入ったから今日は良かったんですけど、練習はしているはずなんで、そこはメンタルをもっと成長させて決め切らないといけないなというふうに思います」
福岡戦では3Pの成功は6本中2本(33.3%)、シーズンでもここまで3P成功率は22.7%とまだまだ向上させていかなければいけない部分ではあるが、シュートが安定してくればさらなる出場機会増加につながることは間違いない。
福井ブローウィンズとの開幕節以降は6分以下のプレーに終わっていたが、福岡戦ではビッグマン陣のファウルトラブルもあり、約12分に渡りプレーした小玉。指揮官からの信頼も厚い。勝久HCは小玉についてこう評価する。
「大智はユニークな選手で、もちろん素晴らしい選手なのでいつだってコートに立たせたい気持ちはありますが、今日(23日)の後半のようにユニークなシチュエーションが彼の必要性を生む。ビッグマンを体張って守るところだったり、相手がゾーンをしたときでも、マンツーマンのときでも、自信を持って3Pシュートを決めたところだったり。今日は彼の貢献が絶対に必要だった状況になった中で、本当によくやってくれました」
連勝で雰囲気も変化「すごく良い関係が築けている」
チームとしてのエナジーや遂行力が上がってきていることが感じられた福岡戦。5連勝と波に乗るチームついて、コミュニケーションの量が増えたことが要因だと小玉は話す。
「練習中にみんなすごく集中して、とにかく喋る量が増えているなと思っています。ちゃんと確認作業ができている。やっぱり、まだコーチの求めるところを遂行しきれてるかっていうと全然できない部分も多くあって、それが結局、相手に得点を許している部分が大きくて。遂行力はだんだんと良くなっていますが、もっとできる部分が大きいと思うので、コーチが求める100があったとしたら、多分まだチームの遂行力は50、60ぐらい。そこにも到達しているかも分からないんですけど、まだその幅はすごく大きいと思うので、そこをもっと突き詰めていかないといけないと思っています」
試合中には選手が主体的にハドルを組んだり、ミスがあればコート内でもしっかりと話し合うなど、試合を重ねるごとにチームの雰囲気も良くなってきている。特に、小玉は試合中でも臆することなくビュフォードやウッドベリーといった主力とも積極的にコミュニケーションを取っており、それがチーム全体のケミストリー広報にもつながっていることは間違いない。
「雰囲気が良くなることで、『ここはこうしよう』などの会話を海斗さんやルイスさん、P(ビュフォード)、ウェインさん、ウッド(テレンス・ウッドベリー)さんといった経験のある選手がリーダーシップを取ってくれて。僕らも意見を言っても聞いてもらえるので、そういう面ですごく良い関係性が築けていると思う」
今季初の水曜日ゲームで白星をつかみ、連勝を5に伸ばした信州ブレイブウォリアーズ。26日、27日にはアウェイで福島ファイヤーボンズとの対戦を控えており、東地区でも順位を上げていくためにさらに連勝を伸ばしたいところだ。
「僕は昨年、連勝というのはあまり経験することができなくて。勝ちマインドってやっぱり大事だなと感じています。勝っていく、勝ち続けるというのは難しいこと。それに慣れるというわけではないですが、勝っていくためにはコーチの言う成長が必要だと思うので、連勝できているのは嬉しい」と小玉はチームの成長を噛み締める。
練習生から契約を勝ち取り、チームがどんな状況でも腐らずベンチを盛り上げ、常にエナジーを与え続けてきた小玉大智。連勝を経験し、成長のプロセスを歩んでいくことで、2年目の今季はどんな成長を見せてくれるのか。好調のチームの中で、「日々成長」を体現する小玉の活躍にも注目だ。
(芋川 史貴)