Bリーグ1部(B1)は3日から6日かけて、各地でレギュラーシーズンの第1節が行われ、東地区・千葉ジェッツはホームのLaLa arena TOKYO-BAYで同地区の宇都宮ブレックスと対戦。第1戦を延長の末に91-84で勝利すると、第2戦では第1クォーターで渡邊雄太が怪我で離脱をするアクシデントがあったものの、第1戦で出場時間がなかった田代直希の活躍もあり、80-61で勝利。昨シーズンのチャンピオンシップの再戦となったカードで2連勝を飾った。
第1戦では、今シーズンNBLのシドニーキングスから加入をしたディー・ジェイ・ホグが26得点とチームを引っ張ると、同じく新加入の渡邊が16得点を記録。そのほかに富樫勇樹、原修太、ジョン・ムーニー、クリストファー・スミスも2桁得点とチームを引っ張った。
ディフェンスファーストの精神 第2戦ではわずか61失点
オフに大型補強を敢行し、今シーズンの開幕を迎えた千葉ジェッツ。一見、オフェンスの派手さや選手のスター性に目を引かれるが、開幕節で特に感じられたのが、ディフェンスやルーズボールなどの細かい部分の意識の高さだ。
昨シーズンは平均失点81.7点とリーグで10番目に失点が多く、シーズン序盤は失点の多さからなかなか勝利をつかみ取ることができなかった。一方で、今シーズンは第1戦こそ延長戦にもつれたことで84失点となったものの、第2戦では61失点と、昨シーズンリーグで5番目に高い81.6得点を上げていた宇都宮のオフェンスを見事にシャットアウト。トレヴァー・グリーソンHCが掲げるディフェンスファーストを大事にする姿勢が見事に表れた2試合だった。
プレシーズンゲームでグリーソンHCが「チャンピオンチームになるために、まだまだシステムの成熟には時間がかかる」と語ったり、開幕戦の後に富樫が「試合を重ねるうちに良くなっていけると思う」と語っているように、新HCの元でのシステム浸透には時間がかかるものだ。まだまだ不用意なターンオーバからの失点やディフェンスの連携ミスが見られるなど、チームとして伸びしろは多くあるものの、「今シーズンは勝ち切るということを意識して試合をしていきたい」と富樫が語ったことが象徴するように選手1人1人の意識が高く、開幕戦であることを忘れさせるぐらいの完成度を感じさせた。
田代直希や西村文男、荒尾岳らベンチ陣も貢献
もう1つ注目をしたいのが今シーズンの選手層の厚さだ。第2戦では1Qで渡邊を怪我したことでローテーションの変更を余儀なくされたが、第1戦で出場時間のなかった田代と西村文男が奮闘。田代は得点こそ3得点だったものの、約17分の出場でプラスマイナス(出場時間帯のチームの得失点差)+8を記録した。西村も8分の出場で8得点を記録するなど、ベンチから出た選手たちも躍動。ロスター入り全選手が出場を果たした。
接戦となった第1戦の4Qでは、控えビッグマンである荒尾岳も出場。得点こそなかったものの、リバウンドや体を張ったディフェンスで貢献を見せた。第1戦の後、要所での荒尾の起用についてグリーソンHCに質問をすると、「彼は先日『タンク(戦車)』というニックネームがつくくらいすごく強くて、スマートで、チームで必要とされていることを理解してコートで表現できる選手。3、4分を自分たちにとって意義のある時間にしてくれる選手なので、起用をした」とコメント。短期間でも結果を残してくれるベンチメンバーの活躍を評価した。
また、プレシーズンと比べるとプレータイムが減少した金近廉についても、「マッチアップの兼ね合いでプレー時間が短くなってしまった。チームにとって大きなパーツにはなっているので、その機会が来たら機会を生かして欲しい」と今後の活躍への期待を口にしている。
昨シーズンは原を筆頭に怪我人が続出し、なかなかチームとして波に乗れなかったものの、今シーズンは誰が出ても強度が高いプレーをできることを示した千葉ジェッツ。開幕節はロスターに入れなかった関谷間、菅野ブルース、トビンマーカス海舟の若手3人や左膝前十字靱帯損傷などの怪我から復帰を目指す二上耀もおり、今後はさらにベンチ入り争いも含めて厳しくなることが予想される。レギュラーシーズンを通してチームとしての成熟をはかりつつ、2020-21シーズン以来となる優勝に向かっていくことを期待したい。
(田中 隼翔)