Bリーグ東地区2位のアルバルク東京は11日、2戦先勝方式のチャンピオンシップクォーターファイナルの第2戦を有明コロシアムで行い、琉球ゴールデンキングスに73ー69で勝利した。これで勝敗数は1勝1敗のタイ。シリーズの最終第3戦は13日午後7時5分にティップオフする。
前日の第1戦はリバウンドの本数で上回りながらもセカンドチャンスポイントで劣勢となり、14点リードで前半を折り返しながら、後半に猛追を受けてダブルオーバータイムの末に劇的な逆転負けを喫したA東京。しかし、第2戦では内外でディフェンスの強度をさらに高め、ほとんど琉球に“モメンタム(流れ)”をつくらせなかった。
アドマイティスHC「出だしからフィジカルで対抗」
試合は出だしからA東京の高い集中力が伺える場面が続く。レオナルド・メインデルがオープニングを告げる3Pで先制すると、メインデルやアルトゥーラス・グダイティスが立て続けにオフェンスリバウンドを奪取。ことごとく得点につなげ、6点をリードした開始約4分で琉球に先にタイムアウトを取らせた。徹底したディナイなどディフェンスで高い強度を維持し、ターンオーバーを誘ってからのファストブレイクも出て流れをつかんだ。
第1Qはわずか9失点。前半は勢いを維持し、11点リードで折り返した。デイニアス・アドマイティスHCは試合序盤をこう振り返る。
「琉球は非常にフィジカルなチームですので、そのフィジカル面で出だしからしっかりと対抗し、ここに負けなかったということが一つの勝因だったと思います」
特にアレックス・カークとジャック・クーリーという重量級のインサイド陣に対し、ファウルが混みながらも体を張り続けたグダイティス、24得点、13リバウンド、5ブロックという驚異的なスタッツを残したライアン・ロシターの活躍が光った。ディフェンスもそうだが、フットワークが鈍いカークや、体重が軽いヴィック・ローを相手にポストアップから得点を挙げるシーンが目立ち、相手の弱点を突き続けた。
アドマイティスHCは選手たちの高い遂行力を評価する。
「フロア上でミスマッチが発生し、我々の方にアドバンテージがある時はインサイドを攻めることは狙っていました。インサイドでしっかりとプレーをつくれれば、逆にそこからやられることを防げると思っています。今日は特にインサイドのところで良いアドバンテージを取れたのかなと感じます」
実際、オフェンスリバウンドは10本ずつで同じ数だったが、ディフェンスリバウンドでは16本対8本と圧倒。前日は自分たちの2倍超を取られたセカンドチャンスポイントは、14対10で琉球を上回った。
ファウルの使い方と効果的なブロック「8」
試合を通じて一度もリードを許さなかったディフェンスは見事だったが、オフェンスでも前半はターンオーバーからの失点がゼロ。開幕2日前のオンライン会見でアドマイティスHCが「ターンオーバーをしてしまうと、相手にファストブレイクを出されてイージーバスケットに繋がってしまいますので、我々のオフェンスをしっかりと組み立て、いいシュートで終わることがキーになると思います」と語っていたが、正にその通りのプランを貫いた。
相手にモメンタムをつくらせないという徹底した姿勢は、ファウルやタイムアウトの使い方にも垣間見えた。琉球は岸本やロー、アレン・ダーラムなど、トランジションから一人でボールを運んでフィニッシュまで持って行く力のある選手が多いが、その度にファウルを使って効果的にストップ。第3Qに岸本に3Pを決められ、5点差に詰め寄られた場面ではこの試合初めてのタイムアウトをすぐに要求し、流れを切った。
もう一つ、モメンタムをつくらせなかった大きな要因は、レギュラーシーズンで平均3.3本とリーグ2位の数字を残したブロックだ。前日は1本対8本で琉球にお株を奪われたが、第2戦では反転して8本対2本と上回った。
指揮官は「ビッグマンが非常にフィジカルに戦い、いい仕事をしてくれたと思います。ロシター選手をはじめ、ブロックの数が増えた結果、相手のポゼッションを多く止めることができました」と手応えを口にした。
メインデル、第3戦へ「規律と気持ちが鍵」
攻守ともにチーム全員が共通認識を持ち、高い遂行力で安定した強さを発揮するA東京。第2戦はオフェンスにおけるツーメンゲームから3人目にボールを振ったり、ディフェンスでディナイの強度を高めたりするなどの細かい修正はあったが、自分たちの持ち味を愚直に発揮することが勝利への一番の近道になることは間違いない。
以下は、第3戦への展望を問われた際のメインデルのコメントだ。
「複雑に何かをがらっと変えることはありません。バスケットボールをエンジョイしながら、このシリーズをやりたい。特に私たちはホームでプレーしますので、思い切ってプレーすること。それと、チームがシーズンを通してやってきたこと、ルールに従い、規律のあるプレーをしたいです。あと最終的には気持ちですので、どちらのチームがエネルギーに溢れたプレーをできるかが鍵になる。しっかりと準備してから第3戦に挑みたいと思います」
A東京と琉球というリーグを代表する競合同士の激突の行方は、運命の第3ラウンドへ。リバウンドへの執着心、ターンオーバーの少なさ、気持ちの強さ…。勝敗を分ける様々な要素に注目しながら、セミファイナル進出を懸けた熱い戦いを楽しみたい。
(長嶺 真輝)