Bリーグ1部・信州ブレイブウォリアーズは29日、ホームのホワイトリング(長野市)で仙台89ERSと対戦。第4節に続き大黒柱のウェイン・マーシャルやエリエット・ドンリー、マシュー・アキノといったビッグマン、さらには当日の3時間前に行われたウォークスルー(試合前に行う動きの確認)で試合に出られないことが判明したスタントン・キッドを欠く中、連敗脱出に向けた試合に挑んだ。
信州は昨季KBLで新人賞を受賞したロン・ジェイ・アバリエントスが18分の出場で3ポイントシュート4本を含むチーム最多の17得点の大活躍。デオン・トンプソンも約35分の出場で13得点13リバウンドとダブルダブルの活躍をするも、第1クォーター(Q)で9-25と大差をつけられ、その点差が終盤まで重くのしかかり65-81で敗戦を喫した。
試合後、勝久マイケルヘッドコーチ(HC)、アバリエントス、三ツ井利也、石川海斗が記者の質問に答えた。
目次
勝久マイケルHCの10/29仙台戦後のコメント
ー仙台戦の総括
やはり1Qで9-25という部分で、ディフェンスの悪さが多かったが、それと合わせて、プレッシャーをかけてくるチームに上手く遂行できないという2つの課題が大きくてこのようなクォーターを作られて、その差が最後まで響いた形となった。本当に苦しい状況だが、ひとつひとつ成長していくしかない。色々なディテール(細部)の40分の積み重ねなので、ひとつひとつやっていくしかない。主にディフェンスとプレッシャー相手にプレーするところが一番大きな課題なので、ここをなんとかしていかないといけない。
今日この苦しい状況に関わらず、多くのブースターが応援しに来てくださって、最後コートを1周するときなども一人ひとりの表情を見ると、本当にチームに対する「頑張れ」という想いが伝わってきて、そう思わせている我々がしっかりしないといけない。本当に有難いし、早くそういう応援に応えられるようにしていきたいと思う。
ー成長の過程で勝ち切れない状況が続いているがチームにはどのような言葉をかけているのか
今週末、特にテーマというか、佐賀戦の反省点も踏まえて、そして仙台戦に向けての準備をしている中で、1からのチームで新加入も多いチーム。なかなか我々のディフェンスルールなどの理解の深さがまだ全然。それを考えるのではなく迷わず遂行できるレベルにならないといけないし、カバレージも迷わず出てこないといけないというレベルにいかないといけないし、それらをインテンシティ(強度)を持ってやらないといけないという中で、練習でも反省をする時のミーティングでも同じ話を繰り返していることが多い。
なので少しでも良くなっている部分を見せたり、連敗をしている時は本当に辛いので、その結果だけで下を向いてしまわないように、本当に僅かだが成長できている部分であったり、同じ話を繰り返している部分だったら、とにかく一人ひとりが成長を少しでもすることで、こういうタフな状況の時に必要なのは希望なので、「勝てる」と信じること。それがエナジーに変わってファイトし続けることにも繋がる。例えば、同じミスを繰り返している人がいたら、それを修正できるという部分を見せたら、それによって周囲も勇気づけられるし、一人ひとりが成長を見せること、ファイトし続けることでお互いが勇気づけられる。なので特にずっと話しているディフェンス面。「やるべきこと」というのを伝え続けている。こういう状況でもそれをやり続ける。ちょっとでも良くなれば、周りが勇気づけられ、絶対勝つチャンスはある。そのような話を続けている。
ーロン・ジェイ・アバリエントスの起用について、成長してほしい部分はどこか
ミスは誰にでもあるので今から言うことは彼だけではないし、選手全員、自分自身皆んなミスはあるので彼だけではないが、点を取っている分同じくらいのディフェンスミスだったり、周りがやりにくくなる遂行力ミスだったりというのがあるのでそういう部分。ただ「プレイバスケ」ってなったら、じゃあ「ピックアップゲームをしてきなさい」って言ったらスキルはありますし、彼がやれることをやれるんでしょうけど、B1で勝っていくために、貢献していくために出来なければいけないことっていうのを身につけてほしい。
ー具体的にどんな部分か
同じ話になってしまうが、ディフェンス面でチームルールを理解する。それをエナジーを持ってやる。主にピックアンドロールディフェンスで毎回かなりのセパレーション(距離)を作られる。簡単に剥がされないように(しないといけない)。例えば前半であった、(ネイサン)ブース選手がドラッグスクリーンに行って、デオン(トンプソン)が右、右、右と行って一人でアイスしてベースラインを取られるなど。なので、周りとやっていることが違う。相手の選手によってカバレージが違うことを自分で判断して開いちゃうなど。
一つの例だが、理解と遂行力。理解した後はインテンシティを持ってやってほしい。我々が剥がせていないのは、そのインテンシティとボールプレッシャーとピックアンドロールがあったときのコンタクトなどをできるようにすること。3Qの終わり間際にも、デオンがヘルプしなきゃいけなくて、ブース選手に3ポイントシュートを打たれたのも、(ヴォーディミルン)ゲルン選手がスクリーナーで絶対ミドルに入られてはいけないカバレージの時にRJはミドルに入らせたとか、このようなディテール一つひとつを遂行できるようになっていかないとけない。
だが、まだルーキーなので、ルーキーというかKBLでやっていましたが、本当に一つひとつ覚えていかないといけない。ただ彼の特徴というか、このような状況でも楽しそうにやっていた、生き生きとやっていた「プレイバスケ」をしようとしていたその点は良かったかなと思う。
ロン・ジェイ・アバリエントスの10/29仙台戦後のコメント
ー仙台戦の総括
今週の試合の結果には満足していなし、遂行しなきゃいけない部分ができなかったというのは反省しなければいけないが、やはりB1リーグのシーズンはまだまだ長いし、これから色々起こるかもしれないが、やらなければならない部分をしっかりできるようにして次の試合に色々と挑みながら前を向いてチーム一丸となって戦いたいと思う。
石川海斗の10/29仙台戦後のコメント
ーベンチなどでアバリエントスとのコミュニケーションが多かったが意識していた部分はあったか
僕はRJの個人的な能力は高いと思っていて、それこそ昨シーズンKBLで新人賞も取っている。彼がプレーできるってことはチームのすごい助けになるなと思っている中で、やはりチームのバスケットというのを理解しないといけない。その中で彼の強みを生かしていくというのがマイケルの求めるところだとは思うので、僕が良いとかRJが良いとかではなくて、ちゃんとコーチが求めるバスケットをどれだけ理解してできるかというのがすごく大事だと思う。
彼の技術力をすごいなと思っているからこそ、ディフェンスの面でもオフェンスの面でももっと理解してほしい。RJが出ることによって僕も楽になるし、正直ここ何試合かはそこがずっと長い時間になって身体に負担がかかっている部分もあって、彼はフラストレーションが溜まっている部分はあっただろうと思う。でもコーチはそこで妥協する方じゃないし、一対一で点が取れるから出すというタイプではないと思うので、だからこそガードで同じポジションの僕が、彼がもっと多くプレーするために伝えられることはあるのかなと思ったので、そこで話すことは多かったかなと思う。
ーアバリエントスから悩みなどの相談はあるのか
相談はないが、でも試合には出たいと思っているとは思う。しかしコーチが求めるバスケはオフェンスでどうこうというよりは、ディフェンスのルールもちゃんと遂行できる選手を出すとは思うので、そこが彼の課題だと思うし、ビジョンやディフェンスの付き方といった本当に細かい部分といったところは、今までもしかしたら言われていなかったかもしれないし、そこは正直分からないが、彼がプレーするってことはチームにとっては大きく助けになれるところだとは思う。
ストレスが溜まっているというのは言われていないが、めちゃくちゃバスケットが好きな子だとは思うので、そこをなるべくコーチ以外で僕が感じていることは伝えるようにしてる。良いプレーをしたら「ナイスプレー」とも言っている。でもやはりディフェンスの部分でのビジョンやローテーションなどといった課題はあるのでそこは伝えていかないといけないと思う。
三ツ井利也の10/29仙台戦後のコメント
ー仙台戦の総括
連敗が続く中で試合直前でスタントンが出られないことも分かって、なんとか勝ち筋を見つけたかったが、やはり1Qが全てだったのかなと思う。日曜日、やり返したいという気持ちもあったが、それを僕らがなかなか出せずに、仙台さんがそれを逆に表現した結果がこの1Qの結果になったと思う。なんとか盛り返そうと思ったがそれが長続きせずに、このままずるずる終わってしまった試合だったし、ファンの皆さんにも不甲斐ない試合を見せてしまった。
ー連敗の中でチームにはどのような声をかけているのか
もちろんこのチームのオフェンスやディフェンスはすぐに体現できるわけではないし、かなり時間をかけないといけないことはチームとしても分かっているが、試合は待ってくれないしプロである以上結果を出さないといけないというのは絶対に忘れてはいけない。あとはどれだけ一人ひとりが責任を持って学ぶ姿勢を続けるか。例えば、その週にミスしたことをまた試合でやるとか。そういう部分を無くして細かい部分をやっていかないと、チャンピオンシップに行くようなチームには勝てないと思う。そこをどれだけ各自が責任を持って突き詰められるかが大切。これから水曜ゲームも入ってきて練習する時間はなかなか取れないと思うが、少ない時間でしっかり準備をしていきたい。
ー練習がなかなかできない中で成長しなければならない難しさはどんな部分か
このチームは相手のやることに対してBリーグの中でもみっちりスカウティングするチームだと思うし、そういう準備を大事にしていると思っている。その準備が少ない分、僕らが普段からやらないといけない基礎の部分はスカウティングできていなくてもやらなければいけない部分だと思うが、そこがまだまだ上手くいっていない。まだまだ既存組と新規選手の中で、ちょっとまだ意識のずれというか、そこがまだ上手く行っていない分、小さなずれがどんどん大きくなっていっている。
ここ数試合の失点を見ても分かる通り、そういうところがこのチームで目標としていないところ、例えば70点以上取られたり、ひどい時は100点取られたりという状況に繋がっている。僕らがやるべきところ、うちのルールというのを細かい部分まで追求していかないと、「新しく選手が入ってきたからしょうがないよね」って言っている場合ではない。もちろん既存の選手や僕自身にもミスはあってそこはもっと改善しないといけない。やはりチーム全体として同じ方向を向けるか。自分だけちょっとやらなくていいだろうという選手が一人でもいてしまうと、チームが崩れてしまうので、そこは僕自身かなり長い間信州にいるし、マイケルさんがどういうことを大事にしているかというのは分かっていると思うので、そのような部分を伝えていきたい。