【バスケW杯】日本はなぜ“後半”に強いのか? 渡邊雄太「自分たちの方が…」、格上3カ国に後半スコアで上回る
オーストラリア戦で得点を決めたあとポーズをするジョシュ・ホーキンソン(中央)©Basketball News 2for1
沖縄を拠点とするフリーランス記者で2for1沖縄支局長。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 FIBA男子ワールドカップに臨んでいるグループEの日本代表(FIBAランキング36位)は29日、沖縄アリーナで1次ラウンド第3試合のオーストラリア(同3位)戦に臨み、89ー109で敗れた。この結果を受け、日本は1次ラウンドの成績が1勝2敗となり、グループ3位が確定。最大の目標であるパリ五輪の出場権獲得(条件はアジア6カ国のうちトップ)に向け、17〜32位決定戦に進んだ。次戦は8月31日午後8時10分から、グループFの4位のベネズエラ(同17位)と対戦する。

 オーストラリアに加え、ドイツ(同11位)、フィンランド(同24位)と強豪国が揃い、“死のグループ”と称されたグループE。「アンダードッグ(格下)」の日本はフィンランドに98ー88で勝利し、W杯で初めて欧州勢から白星を挙げて歴史を変えた。ドイツには63ー81で敗れはしたが、優勝候補でもあるドイツ、オーストラリアに対してそれぞれ18点差と20点差で終えたことは、十分に善戦したと言えるだろう。

 3試合を通じて、特筆すべきことがある。いずれの試合も序盤から追い掛ける展開だったが、格上相手に後半のスコアで全て上回ったことだ。なぜ、ここまで後半に強いのかー。

オーストラリア戦で24得点を挙げた渡邊雄太©Basketball News 2for1

攻守の質上げて追い上げる

 各試合の第3Qと第4Qを合わせた後半のスコアは以下。

日本 32ー28 ドイツ

日本 62ー42 フィンランド

日本 54ー52 オーストラリア 

 初戦のドイツ戦は前半に31ー53と22点ものリードを奪われたが、後半はオールコートプレスやトラップなどディフェンスの強度を高めて逆襲。日本の歴史を変えたフィンランド戦は36ー46で折り返し、後半にSG富永啓生とPG河村勇輝がオフェンスで爆発して圧倒した。

 オーストラリア戦はそれまでの2試合とは異なり、河村とSG比江島慎を先発に据えた。しかしフィンランド戦で活躍した2人を警戒されたほか、富永も自分のシュートの形はつくれてはいたが、決めきれずにチームのオフェンスが停滞。ファストブレイクや3Pで突き放され、22点差で折り返した。

 しかし、後半になると要所でトラップを仕掛けてターンオーバーを誘発。C/PFジョシュ・ホーキンソンやSF渡邊雄太らが得点を重ね、第4Qには一時13点差まで詰め寄った。

 3P4本を含む14得点、7アシストでけん引したキャプテンのPG富樫勇樹は「オーストラリアは今大会で優勝候補の一つだと思ってます。その相手に対して前半から切り替えて、後半はスコアで勝てた。相手は(主力の)メンバーを残り1、2分まで下げることなく戦ってくれた中でのこの点数は自信にしていいと思います」と手応えを語っていた。

 「20点」という差の評価については「もちろん、あと1点でも2点でも点差を縮められたら良かったけど、これから点数と勝率の両方が大事になってくる。それも含め、しっかり集中力を切らさず、40分戦い抜いたことは良かったです」と話し、ポジティブに捉えているようだった。

富樫勇樹は14得点を記録©Basketball News 2for1

練習で磨いた“体力”と“メンタル”

 冒頭の疑問に戻る。日本が後半に強い要因は何か。オーストラリア戦後の渡邊のコメントに答えの一つがある。

 「お互いに体力がある時間帯は、正直力の差は多少なり出てしまう部分があるので、前半でどれだけ僕らが食らい付いていけるかが鍵になってくる。自分たちは、練習をどこの国よりもめちゃくちゃやってる分、後半は体力で勝って、先手を取っていける。第4Qが始まる時に点差が一桁ぐらいだったら、絶対に相手も精神的な余裕や体力がない中で、必ず強い流れが来る時間があると思っています」

 渡邊自身はNBAの関係でチームへの合流は遅れたが、他の選手は6月中旬に強化合宿を開始。高さのハンディを克服するためにスピードや体を張ったディフェンスを重視する戦術を採用しているため、体力面の強化を図ってきた。

 富樫もオーストラリア戦について「後半は僕たちより完全に相手が疲れていて、スイッチの甘さだったり、ディフェンス面のミスがありました。その分、自分たちの強みであるスピードと運動量でカバーできたと思います」と語り、後半の追い上げ要因に体力面を挙げていた。

 もう一つの要因は、ホーバスHCがよく口にする「信じる」というメンタリティだ。どれだけ点差が離されても貪欲にボールを追い続け、成功率が上がらなくても3Pを打ち続ける姿勢は、アップセットを起こす上で必要不可欠なものだ。指揮官は「この試合も全員が勝つと思っていた。アグレッシブにやってるけど、相手も強い。ステップバイステップ。このチームに自信があります」と語り、選手たちを誇っていた。

31日ベネズエラ戦 勝利のために必要な、あと「20分」

 一方、パリ五輪の出場権を懸けた今後の順位決定戦に向け、選手たちは前半の「20分」に対する課題感も共有している。以下は富永の言葉だ。

 「(順位決定戦の相手も)もちろん弱いチームじゃないので、自分たちはアンダードッグの姿勢で挑まないといけない。やっぱり世界レベルになると、20分間だけの日本のバスケでは勝てないので、40分間やり続けることが勝利の秘訣かと思います」

 渡邊も言う。

 「オーストラリアのようなチーム相手でも通用することは、最後の20分間で証明できたと思う。ただ、本気で勝つためには20分だけじゃ絶対に足りない。(順位決定戦の)2試合を勝てば大きくパリに近付けるので、あとは40分間、本当に全員が自分たちを信じてプレーできるかどうかだと思います」

 泣いても笑っても残り2試合となった自国開催のW杯。1試合、40分ごとに全てを出し切り、実に48年ぶりとなる自力での五輪出場権獲得を果たしたい。

(長嶺 真輝)

パリ五輪出場権獲得への勝負へ挑む©Basketball News 2for1

関連記事

Twitterで最新情報をゲット!

おすすめの記事