名古屋ダイヤモンドドルフィンズ齋藤拓実、シーズン中盤戦での巻き返しに意欲 「自分たちらしさを体現することが大事」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実(中央)©Basketball News 2for1
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 シーズンの約1/4を終え、各地区が混戦模様となっているBリーグ。中地区の名古屋ダイヤモンドドルフィンズは11月のバイウィーク前までの14試合を6勝8敗としながらも、レギュラーシーズン再開後は京都ハンナリーズに2連勝するなど、復調の兆しを見せている。

 昨シーズンは西地区でチーム史上初の地区優勝を果たし、ファイナル進出まであと1勝と迫った名古屋D。今シーズンはルーク・メイ今村佳太など他チームでエースとして活躍していた選手たちを獲得し、悲願の優勝に向けて歩みを進めている。

 そんな中で、チームをまとめる司令塔として活躍するのが齋藤拓実だ。ショーン・デニスHCとタッグを組み、名古屋Dで5シーズン目となる斎藤に、チームの現状や優勝への思い、95年組との関係性や日本代表についての思いなどを聞いた。

練習中にはドルを組む©Basketball News 2for1

バイウィーク中の練習でオフェンスが改善

―バイウィーク前は6勝8敗という成績でしたが、手応えや感想は

 負けていた試合は自分たちが出しきって負けた試合ではないので、負けた試合は全部「もっとうまくできたな」と。たらればじゃないですけど、そういう部分はたくさんあるので、そういう部分を少しでも減らすためにもっと上手にできることがあったなと思います。

―チームの主力選手の入れ替わりがあり、難しさややりにくさはあるか

 少し新しいシステムを入れようとしたりとかもあって、それがやりにくさという部分もあったり。ある意味、それがチームのオフェンスのスペーシングを悪くしてしまっていたりということがあったので、今まで通り割とシンプルにした方がいいっていうのは、僕個人も思っていましたし、チームとしてもそういうふうにしていこうとなった。オフェンスのスペーシングはバイウィーク入ってからかなり良い感じになってきているのかなと思うので、やりやすさは徐々に出てきたのかなと。

―坂本聖芽と加藤嵩都の両ポイントガードの評価は

 2人は同級生で常に競い合って練習でもやっていますし、僕も同じポジションなので3人でしっかりと切磋琢磨やっています。コートに入ったときはしっかりと結果を出しているイメージがあるので、そこは本当に頼もしいなと思います。

―今シーズンは「魔境」ともいわれている中地区でのプレーとなった。ここまで戦ってみての感触は

 今のチームの現状だと、どの地区へ行ってもあんまり変わってないかなという印象。「魔境」だと中地区が言われているかもしれないですけど、ここ2、3年のBリーグって2連勝するのが難しかったりとか、戦力が拮抗して1勝1敗になったりとか、意外と下位チームが上位チームに勝ったりとか、ということも増えたりしている。昨シーズンはそこ(西地区)で優勝できたのも自分たちの自信にも繋がりましたし、それが今年は現状だと、負けるべくして負けている感じがある。ただ、今、中地区に入ったからには、同じ地区にはチャンピオンシップの出場権とかもあるので、勝てるところは勝ちたいなと思う。レベルの高い地区になっているのかなとは感じます。

控えPGの加藤嵩都(右)も高く評価する©Basketball News 2for1

今村、佐藤と“95年組”の活躍に期待「噛み合ったときは彼らの力がもっと発揮できる」

―バイウィーク前までは負け越していましたが、チーム内の雰囲気は?

 プレシーズンでもがっつり話し合ったり、チームとしてのカルチャーミーティングとかいろいろやったんですけど、(バイウィークに入って)そこでもう一度、本音でお互い話し合った。それはもう選手だけじゃなくてコーチとも全員でクラブ全体で話し合ってのミーティングで、「もっとお互い求め合っていいよね」っていう話もありました。ルーク・メイも昨シーズン茨城では19試合、20試合ぐらいしかやってないし、ザイラン・チータムも今年初めて日本でやるっていう中で、もっと自分たちもサポートしなきゃいけないし、もっとそこの言葉の壁だったりとかあるところをぶち壊して、本音で話さなくちゃいけなかったなということを改めて再確認できた。そのミーティングのおかげで、元々特別悪かったとかはないんですけど、より一丸になれたということはあるかなと思います。

―チームが成長するために新加入外国籍の2人が鍵を握っていると思うか

 やっぱり自分たちのドルフィンズらしいオフェンスやディフェンスという部分で、外国籍選手のビッグマンのところはすごく鍵にもなる。彼らの力なしでは本当にここから巻き返すことはできないと思うので、そこは2人にも期待したいですし、そこをしっかり自分たちもサポートしたいなと思います。

―ショーン・デニスHCとは一緒にプレーして6シーズン目を迎える。今シーズンにコミュニケーションを取ったことは?

 オフェンスのスペーシングのところ。ハンドラーとしても使いにくかったりとか、ルーク・メイやザイラン・チータムにとっても、(スペーシングがよければ)もっと生きる戦法にもなると思うので。(千葉J戦から)今村(佳太)が復帰している中で、今村だったりハンドラーの選手も多分やりにくいスペーシングになってしまっていたので、そこをもう少しお互いをもっと生かすために変えた方がいいということは話したりして、ショーンさん(ショーン・デニスHC)も大体同じような考えを持ってくれているので。そこはもう、すぐチームに落とし込んで、バイウィークに入ったときはすぐやりました。そこは良くなっていると思います。

―95年組と言われる同級生、今村佳太や佐藤卓磨はどんな存在か

 もちろんプライベートのところでも仲良くさせてもらってるんですけど、リフレッシュできる部分で(チームメイトに)同級生がいるというのはもちろんメンタル的にはお互い大きい部分があると思うんですけど、仲良いだけでやっていける世界ではないと思う。やっぱり彼らには彼らの力があって、それを証明してドルフィンズが来てほしいということで来てくれているので。彼らもドルフィンズの元でこういうバスケットをしたいと来てくれているので、それがドルフィンズのバスケットにも合っていると思いますし、ただ5人になったときの噛み合いがまだできてなかったというのが前半戦だった。

 本当に噛み合ったときは彼らの力がもっと発揮できるスタイルだと思うので、そこは元々実力があるのは知ってるので、そこをよりふんだんに力を出せるようになっていけるのかなっていうのがすごい個人的には楽しみです。彼らの強みも分かってはいるので、お互いを理解してる分、95年組に限らずですけど、(チームワークよく)そこはできているのかなと思います。

同級生の今村佳太(左)と佐藤卓磨©Basketball News 2for1

「まずはチームで結果を」日本代表招集も狙う

―日本代表への思いは

 (日本代表は)ドルフィンズのスタイルとも少し似ている部分がある。今回、トム・ホーバスHCは継続ということでスタイル自体は変わらないと思いますし、世界で戦っていく上では、あのスタイルは必要なのかなと思う。自分としてはまずリーグ戦で結果を出して、もう一回(代表に)呼んでもらうしかないのかなということは思うので、まずはチームの方でしっかり結果を出せるようにしたいと思います。

―残りのレギュラーシーズンで修正していかなければいけない部分は?

 いわゆるスタートダッシュ的なものが遅れてしまってはいるので、現状の順位だとチャンピオンシップ(CS)も出れませんし、まずは最低限の部分としてCS出場。本当に勝率がどうなっていくのか分からないので。僕たちだけではなくて、他のチームによってはホームのCS開催権獲得だったりとか、地区優勝できるのかどうかっていう部分は、まだ最後ならないと分からないので。それよりは一つずつ目の前の試合勝ち星を重ねて、まずはその圏内に入っていくことで、より現実味も増すと思う。まずは自分たちらしさを失わず(やっていくことができれば)、しっかりCSに出場できるかなと思います。

―今シーズンへの意気込み

 シーズンの4分の1終わったときは自分たちも「何が自分たちらしさなのか」っていうところをちょっと失っている部分もあったりする中で、本音でしっかり話し合って「もっとこうしてほしい」ということをお互い求め合うことも大切だし、それができたことでより一丸になれた。チーム同士のスクリメージをやっていても質の高い練習がかなりできていますし、対戦相手に限らず、まず自分たちらしさを体現することが大事だと思うので、もう一度しっかり巻き返せるように戦っていけたらなと思います。

―中務敏宏のラストシーズンとなる。花を添えたいという思いは?

 もちろん一番はホームでCSに出場して、ドルファミの皆さんにもそうですし、中務選手にもドルフィンズアリーナでしっかりコートに立ってほしいということもある。そこは本当にチーム全員でしっかり一丸となって戦っていくだけですし、昨シーズンの朝山選手(現広島ドラゴンフライズHC)のような最高のフィナーレができたらなというのは思います。

(インタビュー=榊原かよこ)

インタビュー中に笑顔を見せる齋藤©Basketball News 2for1

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